開発日誌

その他の雑記

[ 王国の英雄 ] [ サイト情報 ] [ その他の雑記 ] ツクラーショウケースに出演しました

2025-07-14 22:29:16

少し時間が経ってしまいましたが、2025年6月15日の「ツクラーショウケース」にサプライズツクラーとして出演させていただきました。

ツクラーショウケースとは、shinさん主催のYouTubeチャンネルで年に数回開催されている、ツクールを中心としたゲーム製作者のプレゼンテーション企画で、今回で5回目となります。

毎回、事前に出演者が知らされていないサプライズツクラーという枠があって、意外な人物の登場に湧いたり誰かを予想して楽しむなど盛り上がる企画となっていましたが、第5回の今回はなんと14人全員がサプライズツクラーということで、自分はその中で11番目のサプライズツクラーとして出演させていただきました。

こちらが当日放送したPVです。

出演オファー

3月の頭頃にshinさんから光栄にも出演オファーの連絡をいただきました。

ショウケースを何度か視聴して一度は自分でも出てみたいと思っていたのと、6月頃ならちょうど制作中の長編大河RPG『王国の英雄』が完成……間近になっている頃なのでプロモーションにもぴったりということで、二つ返事でお受けさせていただきました。

PV作成

もともとリリース時に作ろうと思ってPVの案は構想していたので、それを当日のPVとして完成させることにしました。

こんな感じでExcelに使うシーンと秒数、BGMなどを記して整理していました。コンテのLv1みたいな感じですね。

PVの主な構成としては

  1. 序盤のストーリー紹介
  2. オープニングムービー
  3. システムの特徴紹介

の三部構成で、5分程度の長さを目指しました。

いろいろ詰め込んだり、しっかりシーンを見せるためには想定よりも秒数かかったりで、結局6分の長さになってしまいましたが……。

ゲーム画面の録画はWindows標準のWinキー+Alt+Rでできる録画機能、動画編集はMicrosoft公式の無料動画編集ツールであるClipchampを使いました。

動画編集は普段あまりやったことがなく、希望の演出を実現するのにかなり手こずりましたが、とにかく触って覚える感じで試行錯誤しながら作りました。

▲主人公コバルトの立ち絵(by oka様)

またオープニングムービーの制作にあたっては、キャラクターの立ち絵をokaさんに描いていただきました。

もともと作品中にオープニングムービーを流す予定で、1年半ほど前に依頼することだけはお話しさせていただいていたのですが、ようやく依頼することが叶いました。

キャラクタージェネレーターで作成した顔グラに身体を生やしてくれ、という無茶なお願いにもかかわらず、快く応じてくださって本当にありがとうございました。

工夫した点

今回はサプライズツクラーでの出演ということですが、サプライズツクラーでいつも困るのは、いまいちどなたなのか分からない点。

もちろんサプライズ枠だけに、名前を言われれば存じ上げている方々ばかりなのですが、普段からよく交流させていただいている方でなければ、画面だけ見て即座にどなたなのかは結びつかないものです。

だいたいあの方だと察しはついても、間違ってると失礼なので、誰かが名前を出してくれるまでコメントできなかったり……。

▲冒頭5秒目で表示したロゴ

そこで自分は、冒頭にパンダのアイコンとwerepanda.jpのロゴを持ってきて、誰なのかを明示するようにしました。

このアイコンはシンプルで特徴があるので、これがあれば誰なのかは分かるだろうと思いました。

▲冒頭で表示したゲーム開始シーン

ただ最初から誰なのか答えが出ているのも味気なく、普段仲良くさせていただいている方々には「コバルト」の名前を出すだけでも反応していただけるのではないかと思い、冒頭の5秒間はゲーム開始の呼びかけシーンを挿入して、その後にロゴを表示するようにしました。

こうすれば、「コバルト! ということはpandaさんだ!」と5秒の間に思っていただけるのかなと。意図通りに行ったかな?

苦労した点

これまでプラグインの解説や制作状況の紹介などで動画は編集したことがありますが、複数の動画の切り貼りや簡単な文字入れ程度しかやったことはなく、本格的なPVの作成というのは初めてでした。

▲様々な効果があるが何が何やら……

Microsoft Clipchampは無料ながらもひととおりの機能は揃っており、文字テロップの挿入やフェードイン・フェードアウト、動画の切り替え(トランジション)や各種エフェクトなど、必要な演出効果は使いたいものを選択してパラメーターを指定するだけで簡単に実現することができました。

ただ効果は「パルス」とか「VHS」とか言われても具体的に指定してみないとどんな効果なのかよく分からなかったり、パラメーターもどの値にすればいい感じになるのか、とにかく実際に指定して試してみないと分からない、というのは苦労しました。

無料版だからなのか、エフェクトもいまいちイメージした演出には物足りない感じで、ある程度は妥協しながらの作成となりました。

また、動画を編集していざ実際に再生してみると、タイミングがいまいちだったり位置がずれていたり、そうしたミリ秒単位、1ドット単位の調整も根気のいる作業でした。まるでツクールみたい。

▲恐怖のキャッシュ切れ

中でも一番苦労したのが、無料版だからなのか、PCのスペックの問題なのか、HDDの残容量の問題なのか、はたまたネットワークの問題なのか、たびたびClipchampのキャッシュが壊れて素材ファイルの読み直しが必要になったこと。

酷い時は1操作するだけで再読み込みが必要になったりして、これが上述のミリ秒や1ドット単位の調整をしている時に起きると、思わず諦めたくなりました。

良かった点

しかし何とか粘り強く編集を続けたお陰で、我ながら満足のいく動画が出来上がりました。一時は10分に1回ぐらい見返したりしてたw

おそらくshinさんの意図通り、当日はとても盛り上がったのが良かったです。

デフォルト素材の使い方が上手いとか、ピクチャなどを使わずに印象的なシーンを作るとか、普段意識している点をお褒めいただけたのもとても嬉しかったです。

Discordで通話するのが初めてだったので、事前に一応shinさんと通話テストを行っただけで、特に話す内容の打ち合わせとか事前準備とかも何もなかったのですが、shinさんがPVの内容や話した内容を上手く拾ってくださって、会話を広げてくださったのも有り難かったです。

何より今回こうして機会をいただけたことで、βテスト版を公開する良いきっかけになりました。

企画とお声がけいただいたshinさん、司会アシスタントで嬉しいコメントをくださったツバスさん、素敵な立ち絵とタイトルロゴを描いてくださったokaさん、そして配信時に有り難いコメントをくださった視聴者の皆さん、本当にどうもありがとうございました!

[ サイト情報 ] [ その他の雑記 ] 2024年総括

2024-12-31 13:29:28

いつも以上にあっという間に過ぎた気がする2024年。

早くも大晦日ということで恒例の1年振り返りです。

新作の制作状況

2020年の秋から制作を開始している長編大河RPG『王国の英雄』。

去年の年末総括では「さすがにストーリーの佳境は過ぎたので、来年の夏ぐらいまでには完成することでしょう」などと豪語していましたが、結局まだ完成していません。

でも、ラストダンジョンまで出来上がっていて、ラスボス戦も基本路線は固まっているので、あとは付随する要素を作り終えていくだけの、いわゆる「あとは完成させるだけ」状態なので、さすがに来年の夏ぐらいまでには……。

来年の秋で制作開始から丸5年が経つことになるので、何とかそれまでには完成させたいところです。

〆切がないとどうしてもダラダラやってしまうので、イベント出展なども視野に入れてもいいかもと思い始めています。

制作者仲間との交流

2024年はツクラー仲間との交流もけっこう深まりました。

ツクラー歴だけでいうなら四半世紀あまり。本格的に制作を開始してからも15年以上経ちますが、twitter(現X)を始めたのもちょうど『王国の英雄』制作開始と同じ頃と、最近まであまり積極的に他のツクラーさんと交流をしてきませんでした。

ですが、twitterでよく絡ませていただく方も増え、ツイキャスやYoutubeなどで配信されている方のところにもお邪魔したりと、交流することが増えてきました。

特にtwitterやツイキャス配信で仲良くさせていただいているじどりさんとは、リアルで一度お会いする機会がありました。その時にプレゼントしていただいた『王国の英雄』主人公パーティーの絵は、額に入れて部屋に飾っています。ありがとうございました!

インディーズゲーム関連のイベントも、オンライン・オフライン共に頻繁に開催されているようなので、前項でイベント出展も視野に入れていると述べたように、来年はそのような場所にも顔を出していきたいと思います。その際はよろしくお願いします!

ツクールの新機能にまたしても翻弄

2024年は新年早々、RPGツクールMZ v1.8.0の問題の新機能(メッセージのウェイトを無効化できる)に、またしても翻弄させられました。

新機能が発表されてすぐに問題点を指摘し、対策用のプラグインを公開しました。問題の機能はその後v1.8.1で、ウェイトの無効化のON/OFFを切り替えられるオプションが導入されましたが、初めからそうしとけと……。

v1.8.1へのアップデートに際しても、ツクールの旧ストア閉鎖にともなって、旧ストアでの購入者に対するアップデートが蔑ろにされた(現在は解消済み)ので、珍しく怒りの長文を公式フォーラムに投稿したりしました。

来年早々にもv1.9の発表がほのめかされており、新機能も一部が紹介されていますが、前科がありすぎるので、蓋を開けるまで手放しで喜んで良いものかどうか分からないのが困りものです。

ツクールの公式も、発売から5年も経つソフトウェアに、いまだに新機能を追加してくれるのはとてもありがたいのですが、せっかく公式フォーラムがあるのだから、事前にもっと意見を聞いたりすればいいのにな、と思ってしまいます。

プラグイン制作

前述のv1.8.0の尻拭いプラグイン以外にも、いくつかプラグインを公開しました。

中でも「乗り物の乗降時等にイベントを実行」と「ダミーイベントと重なる位置でも飛行船を下りられるようにする」の2つは、飛行船に関わる動作を改善するためのプラグインです。

飛行船と言えばゲーム最終盤に登場する乗り物であり、新作の制作が最終盤まで到達している証拠です!

戦闘アニメの位置を敵ごとにずらす」と「敵が全員逃げた時の戦闘終了時メッセージを変える」の2つは、要請を受けて作成したプラグインです。後者の敵が全員逃げた時のメッセージは、自分でも気になっていた部分だったので、要望があったのに乗じて作成しました。

ピンチ状態の文字色を2段階化&敵キャラ名の色を変える」は、ドラクエ3のHD-2Dリメイクを遊んだ中で、この仕様は採り入れてもいいのではと思って作成したプラグインです。

他にも、以前公開した「数値入力ウィンドウ強化プラグイン」に、桁移動のボタン追加とキャンセルボタンの位置調整機能を計画しています。こちらは機能的にはほぼできているので、年明け早々にも公開できると思います。

その他の活動

今年も12月に恒例の「ツクールアドベントカレンダー Advent Calendar 2024」が開催され、「雑魚戦に陽を当てよう」の記事を投稿しました。

一般的に苦手な制作者が多いと言われるマップ、モブキャラ、雑魚敵の三大要素。むしろ自分はこれらの三要素こそ大好きなので、時々語ってきました。

特に近年では雑魚戦はスキップできて然るべきものみたいな扱いを受けることもしばしばですが、そんなはずはないと信じています。

凝った戦闘システムや美麗なグラフィックに注目が集まりがちですが、モブキャラの会話や雑魚戦といった要素を蔑ろにしては、凝った戦闘システムも美麗なグラフィックも十分に活かせないと思っています。

これからもこうした要素の解説は、折を見てやっていきたいですね。

2025年の抱負

来年の抱負は、何と言ってもまず新作『王国の英雄』を完成させること。

自作品である『小さな大冒険』と『天下御免!からくり屋敷』はいずれもRPGツクールVX製で、今となってはさすがに古くて手軽にはプレイを勧められません。『夫婦戦争MZ』はRPGツクールMZ製ですが、ミニゲームであるため、自作品の顔としては少々弱い気がしています。

長編大河RPGと銘打った本格的なRPG作品となる『王国の英雄』を完成させれば、ようやく大手を振って勧められる自作品ができます。

2025年は『王国の英雄』完成を第一目標に頑張っていきたいと思います。

また、自作品の制作中はそれに集中してしまって、あまり他の作品をプレイする余裕がありませんでした。

やはり他の人の作品を多くプレイして、参考になる部分を吸収していかないと、独りよがりに陥ってしまうおそれもあります。来年前半に自作品を完成させて、後半はいろいろな作品をプレイしていきたいと計画しています。

本年はどうもありがとうございました。

また来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

[ その他の雑記 ] 雑魚戦に陽を当てよう

2024-12-10 00:00:27

本記事は「ツクールアドベントカレンダー Advent Calendar 2024」12月10日分の投稿記事です。

ところで皆さん、RPGの雑魚戦は好きですか?

私は好きです。

でも残念ながら、好きという人は少ないかもしれません。

今回はそんな雑魚戦について考察してみました。

雑魚戦とは

RPGにおける雑魚戦とは、ボス戦の対極にある戦闘のことです。

何度も繰り返され、通常はそこまで苦戦することもなく、長くとも数ターンで勝利できます。

大して苦戦もせずに勝利できて、しかもそれが何度も繰り返されることから、単なる作業になっている感覚が強く、雑魚戦が面倒だという声はよく聞かれます。

実際、最近のRPGではシンボルエンカウントが主流になり、雑魚戦を避けることが容易になりました。

さらに味方の戦力が明らかに勝っている場合は戦闘シーンを省略できたり、エンカウントキャンセルのような仕組みが採用されたりと、極力雑魚戦をしなくて済むようになっています。

しかし、戦闘は本来RPGの一番メインの要素と言っても過言ではありません。

実際に、あの手この手で雑魚戦を回避できるようにしておきながら、雑魚戦自体を無くしている作品はあまりありません。

忌避されつつも、雑魚戦自体はRPGに不可欠な存在と見なされているのです。

そんな忌避されがちな雑魚戦を少しでも面白いものにするために、自分が行っている工夫を述べてみました。

雑魚戦の役割

そもそもRPGにおいて、雑魚戦の役割とは何でしょうか。

いろいろあると思いますが、だいたい以下のような感じでしょうか。

経験値・お金稼ぎの手段

雑魚戦の役割として真っ先にイメージされるのはこれでしょう。

RPGの重要な要素として、キャラクターの成長・強化があります。

経験値を稼いでレベルを上げたり、お金を稼いで装備を購入したりして、ある程度強くなっていなければボス戦を突破できません。その稼ぐ手段としての雑魚戦は、必要不可欠なものです。

古い作品では「経験値稼ぎ」と揶揄されたように、1レベルアップするのに大量の雑魚戦が必要とされ、これが雑魚戦の面倒さや作業感に拍車を掛けていました。

しかしだからと言って、雑魚戦での経験値やお金稼ぎが不要となると、今度は雑魚戦が本当にメリットのない邪魔にしかならず、かえって面倒な作業になってしまいます。

ドロップ品集め

経験値とお金が代表的な戦闘の報酬ですが、それ以外の報酬として敵のドロップアイテムもあります。

アイテム合成のある作品だと合成素材が雑魚敵からのドロップ品だったり、あるいは強力な武器や防具をレアドロップとして落とすこともよくあります。

種などの強化アイテムを落とす雑魚敵を狩りまくるのも、これに当たります。

ドラクエ5のように倒したモンスターを仲間にするというのも、広義のドロップ品集めに相当するでしょう。

ただ、素材やレアドロップを狙って特定の雑魚敵を狩りまくるというのは単純作業以外の何者でもなく、エンドコンテンツでのやりこみ要素ならともかく、ゲーム序盤からそのような要素があると、プレイのテンポを悪くしてしまいます。

パーティーを消耗させる

雑魚戦のもう一つの主要な役割として、パーティーを消耗させることが挙げられます。

ダンジョンの奥でボスと戦うまでに、MPや回復アイテムといった限りあるリソースを削っておくのです。

プレイヤーとしてはボス戦に備えてなるべくMPを温存しておきたいが、通常攻撃だけだと倒すのに時間がかかりHP回復にかえってMPを消費してしまう……、という風にリソース配分を考える必要がありますし、消費を抑えるためなるべく効率の良い倒し方を工夫しなくてはなりません。

これが、ボス戦の前に全回復ポイントがあったり、MPの回復手段が潤沢だったりすると、リソース削りとしての雑魚戦の役割はなくなります。何も考えずただ強力な技をぶっ放していれば済むので、雑魚戦が退屈で面倒な作業になってしまいます。

ボス戦の練習台

例えばダンジョンに3種類の雑魚敵が出てきて、それぞれ毒を使ってくる敵、暗闇にしてくる敵、麻痺させてくる敵がいたとします。そしてそのダンジョンのボスには、これら3つの攻撃手段全てを使わせます。

こうすることでプレイヤーはあらかじめ、毒や暗闇、麻痺でどのくらい困るかやその対処法を予習することができ、いざボス戦になった時も慌てずに対処できるようになります。

また、単純に攻撃や回復でないスキルは、その効能がプレイヤーに伝わりづらいです。雑魚敵にそのようなスキルを使わせることで、どういう効果を持つスキルなのかを分からせることができます。

他にも「試し斬り」の役目もあります。

新しく覚えたスキルを、その威力や効果がちゃんと分かっていない状態で、いきなりボス戦で使うのは勇気がいります。予想よりも威力が弱かったり、思わぬ副作用があったりして、一気に窮地に陥ってしまうかもしれません。あらかじめ雑魚戦で使ってみて効果のほどを確かめる、というのは大切なことです。

世界観の醸成

例えば森のダンジョンでは猛獣や虫系のモンスターが、雪国では氷系の攻撃を得意とするモンスターがよく出現します。

単にマップが森や雪国であるだけに比べて、いかにも森や雪国を冒険している感が演出できるでしょう。

洞窟を抜けて新しいエリアに到達したら今までよりも一段階強い敵が登場したり、ラストダンジョンでボス敵並みに強い雑魚敵が襲ってきたりというのも、広い意味ではこれに当たります。

作品全体としては、ダークな作品はモンスターもおどろおどろしいものになりますし、メルヘンチックな作品はモンスターの絵柄もカワイイものが使われがちです。和風な作品であれば登場するモンスターも日本の妖怪や獣がモチーフになります。

敵キャラのグラフィックは歩行キャラクターやマップのオブジェクトなどと比べると大きくて視覚的にインパクトがあり、中でも雑魚敵は何度も繰り返されることから目に触れる機会も多く、作品全体やそのエリアの雰囲気作りに役立っています。

自分の工夫

以上が自分の考える雑魚敵・雑魚戦の役割です。

私の過去作『小さな大冒険』『天下御免!からくり屋敷』、および現在制作中の『王国の英雄』は、いずれも雑魚戦を重視しており、これらの役割を活かすために不十分ながらも様々な工夫を施しています。

経験値・お金の量

雑魚敵を全て逃げずに倒し、道中の宝箱を全て回収して進むくらいで、ちょうど良いレベルになるように、エンカウント率と経験値・お金の量を調整しています。

すなわち、ただ経験値稼ぎを強いられることもなく、逆に雑魚戦を避けまくっているとボス戦で苦戦するようなバランスを目指しています。

この調整は過去記事「必要経験値をExcelで計算」で紹介したExcelファイルを活用しています。

だいたいどのぐらいの戦闘回数でレベルアップさせるかをベースに、ダンジョンの広さとエンカウント回数、敵キャラの経験値を設定しています。

ただ後半になるほどプレイヤーの腕や進め方による差も拡大するため、中盤くらいまで気を付ければ十分かなとも思います。

『小さな大冒険』の頃はこの辺の調整が甘くて、何度かエンカウント率や獲得経験値の修正を余儀なくされた上、最終的には調整しきれておらず、雑魚戦には課題が残っています。

不可視シンボルエンカウント

過去記事「不可視シンボルエンカウント」「不可視シンボルエンカウント・再」で紹介したように、『天下御免!からくり屋敷』や現在制作中の『王国の英雄』では、シンボルエンカウントではあるものの敵シンボルが普段は見えないという、不可視シンボルエンカウントを採用しています。

シンボルエンカウントの場合は極力エンカウントを避けるのでレベルが上がらず、ランダムエンカウントの場合は迷ったりじっくり探索したりするとレベルが上がりすぎてしまう、という問題があります。

不可視シンボルエンカウントであれば両者のいいとこ取りができ、パーティーのレベルを適正な範囲内に収めやすくなります。

『天下御免!からくり屋敷』では一定時間経つとシンボルが復活するようにしていましたが、『王国の英雄』では一度倒したシンボルはマップを切り替えるまで復活しないようにしたので、同一マップ内ならいくら迷ってもエンカウント回数が増大することはなく、レベルが上がりすぎる事態を避けることができます。

行動パターンで敵に個性を

雑魚敵が様々な攻撃を仕掛けてくるようにして、個性を持たせています。

自分の場合、割と味方専用のスキルになりがちな「かばう」やカウンター攻撃なども積極的に雑魚敵に使わせて、「このスキルはこう使うと強い」というのをプレイヤーに示しています。

注意点としては、あまり1つの敵に行動パターンを多く設定しても、1~2ターンで戦闘が終わるなら、使ってくる行動は数が限られます。

その敵ならではの行動1~2パターンに留めておく方が、特徴が際立つでしょう。

敵グループを豊富に

同じ雑魚敵でも、その数や組み合わせによって戦い方は変わってきます。

自分は敵グループをけっこうたくさん用意します。

1つのエリアに3種類の敵が登場し、全部で1~3体まで同時に出現するとなると、その組み合わせは19通りになります。

これに加えて4体以上出現するパターンもいくつか設定して、自分は1つのエリアに20~30くらいの敵グループを作ることが多いです。

敵グループの構成が同じだと戦い方も同じになるので作業感が増してしまいます。

様々な組み合わせの敵グループを用意して、どの技で倒すのが一番効率が良いか、誰から倒せば被害を最小限に抑えられるかなどを常に考えて戦うようにすれば、雑魚戦にも緊張感が生まれると思います。

雑魚敵の耐久力

プレイヤー側が常に先行して一撃で倒せてしまうと、いくら雑魚敵に個性や特徴を設けても、それを披露する機会がありません。

自分はHPと敏捷性を調整して、魔法使いが先行して全体スキルを放つが微妙に討ち漏らす→雑魚敵が行動する→敏捷性の遅い戦士が通常攻撃で倒しきる、というような流れを意図することが多いです。

こうすることで、雑魚敵が攻撃してくる隙を作りつつも、戦闘自体は1ターンで終われるようにしています。

キャラクターの成長具合にも左右されるので、なかなかピッタリに調整するのは難しいですが、なるべく一発では倒せないようにしています。

町の人に雑魚モンスターを語らせる

過去記事「モブ会話の作り方」でも触れたように、町のモブキャラの会話で周辺に登場する雑魚モンスターの特徴などを喋らせています。

初めて登場する状態異常を使ってくる敵や、不意に強力な攻撃を仕掛けてくる敵など、あらかじめ情報があれば対処も可能ですし、理不尽感もなくなります。

この周辺にはこのようなモンスターがいる、という世界観の提示にも繋がります。

あまり町の一般人が魔物に詳しいと違和感があるので、自分の場合は宿屋に併設された酒場のような施設を作り、そこに冒険者たちを配置して、雑魚敵について語らせるようにしています。

モブキャラの会話は考えるのが苦手という方も多いですが、雑魚敵の特徴を喋らせるだけで数人分の会話が作れるのも良い点です。

これはあまりやっている人がいないので、心からお勧めしたいです。

まとめ

アドベントカレンダーの勢いを借りて、雑魚戦についていろいろ語ってみました。

いずれも全て、個人の見解ですと断っておきます。

雑魚戦ごときにいちいち頭を悩ませたくない、最強スキルで一掃できれば十分だ、という意見の方もいらっしゃるでしょう。

ただそれであれば、いっそ雑魚敵など無くしてしまって、ボス戦だけで十分な経験値が得られるようにすればいいのでは、とも考えます。

このゲームの中で雑魚敵・雑魚戦とはどのような役割を持つのか、ということを意識せず、ただ何となくRPGだから雑魚戦があるというだけで作られた雑魚戦は、退屈なものになりがちです。

ぜひその辺をしっかりと意識して、雑魚戦を設計してもらいたいと思います。

それでは最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

[ サイト情報 ] [ その他の雑記 ] 2023年総括

2023-12-31 13:52:28

あっという間に2023年も大晦日の日を迎え、恒例の1年間総括のお時間がやって参りました。

2023年の活動

2023年も相変わらず、新作の長編大河RPGの制作に没頭していました。本当は今年の秋頃には公開の想定だったのですが、延びに延びて4年目突入です。さすがにストーリーの佳境は過ぎたので、来年の夏ぐらいまでには完成することでしょう。ホントかよ。

制作状況はtwitter改めXでもちょくちょくアップしているので、ぜひフォローよろしくお願いします。

MV/MZ用のプラグインは、上半期はあまり公開しませんでしたが、10~11月にかけて立て続けにいくつか公開しました。どれもツクールの仕様の微妙なところを補う、必須級のプラグインではないかと思いますので、ぜひ活用してください。

2024年も引き続きプラグインのほか、プラグインを使わないテクニックの数々を紹介していければと思います。テクニックはたまにtwitter(現X)でも紹介していますが、どうしても文字数の制限などもあって細かい説明ができないので、こちらでも紹介していきたいと思います。

12月には、今年も「ツクールアドベントカレンダー Advent Calendar 2023」に参加し、「回答されやすい質問の仕方指南」という記事を発表しました。

最近、ツクールの公式フォーラムなどで要領を得ない質問が散見されたこともあって、どういう質問の仕方が望ましいのか、回答者側の立場から書いてみました。口うるさいベテランみたいで、あまりそういうことは言いたくなかったのですが、このままだとフォーラムの衰退にも繋がりかねないため、敢えて書いてみました。

2023年の三大ニュース

さて、2023年の三大ニュース、一つ目は、和風探索RPG『天下御免!からくり屋敷』がついに実況プレイされたこと!

これまで『小さな大冒険』と『夫婦戦争MZ』は何度か実況プレイされていましたが、『天下御免!からくり屋敷』は2018年の公開以来、知る限り実況プレイは上がっていませんでした。やはり主人公が女の子でもイケメンでもない、濃いオッサンなのが敗因なのか……。

それはともかく、春頃にみなみよつばさん主催の「実況歓迎自作ゲームPR大会」に出したところ、みなみよつばさん自ら実況プレイ動画を上げていただきました。本編のみ全18回。プレイリストからご覧いただけます。

実況のお陰でヒドいバグを発見できたり、少しバランスを調整したりもしました。

個人的には本編後の地獄篇・極楽篇からが本番、みたいなところもあるので、続きもぜひ実況してもらいたいのですが、続きが気になった方はぜひ直接プレイをお願いします!

2023年の三大ニュース、二つ目は、ゲームアツマールの終了です。

2022年の末に突如終了告知があり、予定通り2023年6月に終了となりました。

自作フリーゲームを公開できるフリゲ投稿サイトはいくつかありますが、その中でもゲームアツマールは

  • ニコニコ動画内にあるので集客しやすかった
  • ツクールとも連携していて公式感があった
  • サイトデザインが他と比べて洗練されていた
  • ニコニ広告で露出を増やすことができた

といった点で、他のフリーゲーム投稿サイトとは一線を画すものでありました。

特に最後の広告で露出を増やせる点は重要で、フリゲ投稿サイトには毎日何本もの新作ゲームが投稿されています。目に留まるのは新着一覧に掲載されるほんの数日。それ以降はよほど話題に上らない限り、急速に埋もれていってしまいます。

しかし、ニコニ広告を使うことによって、カネの力で露出を増やすことができ、特にアツマールのトップページのバナーに掲載されると、確実にプレイ数は伸びました。

他のフリゲサイトにもピックアップの仕組みはありますが、多くはランダムで選ばれるもので、作者が狙って露出を増やすことはできません。その点、アツマールは金の力で注目を集める手段があったため、一度埋もれても再起のチャンスがありました。広告費によってサイト運営費の足しになるでしょうし、他のサイトでもぜひ採用してほしいシステムですね。

2023年の三大ニュース、最後の三つ目は、『RPG Maker UNITE』の発売と混乱、そして『RPG Maker WITH』の発表です。

Unity上で動作するツクールということで、操作体系がガラッと変わって、期待と不安を一身に背負って発売されたUNITEですが、極度の重さ、UIの不便さ、重要機能の欠落などなど……。多数の便利な新機能を台無しにする出来の悪さで、年末にはSteam版の発売が事実上の中止となる事態に。

また、10月に発表され、2024年の4月に発売予定となったCS版ツクールの新作『RPG Maker WITH』は、見た目的にはMZをベースにしたもののようですが、キャラクタージェネレーション機能の削除など、残念な話もいくつか出てきています。

そもそもプラグインや自作グラフィックがなく、できることに限りがあるCS版ツクールですが、ゲーム制作の入門編としては一定の役割を果たしていると思っています。

特にWITHの目玉機能として紹介されている「アセットシェアリング」機能が、プラグインに近い機能を果たして、入門者から中級者へのステップアップを図る一助になることを期待しています。

あとは、MV Trinityの時に問題となったバグや、いわゆるNGワード問題などが、どれだけ解消されているかに懸かっているかもしれません。

フリゲ界を盛り上げるために

最近、フリーゲームは衰退したのか否かという議論が話題になりました。

ツクールのみならず多様なゲーム制作ツールが出てきて、ゲーム制作を始める人が増えているのは事実です。前述したようにフリゲ投稿サイトで公開される作品の数は減ってはおらず、それだけを見るとフリーゲームは活発化しているとも言えるでしょう。

しかしアツマールの終了に象徴されるように、公開先は減っており、それに伴ってフリーゲームのプレイ人口も減っていると思われます。フリーゲームから商業化など注目を集める作品が現れる一方、ほとんど注目されずに埋もれていく作品も多数あり、それで言うとフリーゲームはレッドオーシャン化していると言えるでしょう。

そもそもフリーゲームはフリー(無料)であるだけにお金が動きづらく、大企業の支援が得られにくい世界でもあります。一方のフリー(自由)は、昨今のコンプライアンス強化の一環でふりーむ!の審査が厳しくなったりと、あまり明るい話を聞かないのも事実です。

今すでに衰退しているかと言われると、そこまでではないものの、このままだと徐々に衰退していくのではないかという危機感は覚えます。

個人的にフリーゲーム界の振興に必要だと思っている要素は次の3つ。

  • 使いやすくバグの少ないツール
  • 公式的なフリーゲーム投稿サイト
  • ユーザー間の互助システム

一つ目のツールは言わずもがなで、直近で発売されたUNITEの惨状は語るまでもありません。ツクール以外のツールも、部分的にはツクールに勝っているところもありますが、取っ付きやすさや拡張性、素材の豊富さなど、総合的な使いやすさに関してはツクールにまだ及んでいないというのが個人的な感想です。

そろそろMZの正式後継版も計画が進められている頃かと思いますが、取っ付きやすさ、拡張性、豊富な素材といったツクールの長所は失わないようにしてほしいと思います。

二つ目の投稿サイトに関しても、アツマール亡き今、割と切実な問題であります。

昔はツクール公式でも作品宣伝掲示板や、Vectorや窓の杜といった大手ダウンロードサイトでもフリーゲームのレビューが定期的にありましたが、いつしかそういうものはなくなってしまいました。

ツクール公式も、ゲーム制作ツールを売るだけ売って、肝心の発表する場所が他人任せというのは、フリーゲーム界を本当に盛り上げていきたいのか、疑問に思えてしまいます。アツマール終了の際、ツクール公式からもそれに代わる仕掛けを検討中、みたいなことを言っていたと記憶しているので、それに期待しています。

前述の2つは一ユーザーでどうにかできる問題ではありませんが、最後の三つ目は個人でも協力できる部分です。

公式が何から何まで面倒を見るわけにはいかず、ユーザー間で相談したり質問し合えるような仕組みが必要です。それも、ただ仕組みだけあればいいというのではなく、上級者は積極的に初心者の質問に答え、初心者は自分の悩んでいる部分を分かりやすく質問する、といった工夫が必要になります。それを考えて「回答されやすい質問の仕方指南」の記事も出しました。

私もできるだけ、フォーラムの質問には答え、テクニックなども積極的に紹介していきたいと思います。

去年に引き続き最後の方は暗い話になってしまいましたが、それに負けず2024年は現在制作中の新作公開に漕ぎ着けたいと思います。

来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

[ その他の雑記 ] 回答されやすい質問の仕方指南

2023-12-05 00:00:10

本記事は「ツクールアドベントカレンダー Advent Calendar 2023」12月5日分の投稿記事です。

はじめに

RPGツクールシリーズにはユーザー間でノウハウの質問や相談を行えるサイトがいくつかあり、公式の「ツクールWebフォーラム」や非公式の「ツクマテ」が代表的なサイトです。

公式のツクールフォーラムは私も登録していて、そこそこの頻度で書き込んでいます。ツクマテの方は登録はしていないのですが、そこに挙がっている質問は参考として読んでいたりします。

私は基本的に質問に対する回答者の立場となることがほとんどですが、挙がっている質問を見ていると、回答する気の失せるような質問も散見されます。

しかし多くの場合は、悪意を持って回答者を困らせてやろうとしているわけではなく、どういう風に質問したらいいか分からない、何が分からないのか自分でも分かっていない、という状態なのだと思われます。

そこで今回は、どういう風に質問したらいいか、どういう質問をしたら回答がされやすいかを、回答者側の観点を交えて解説したいと思います。

けっこう長文になりますが、お付き合いください。

なお最初に断っておきますが、以下はあくまで個人の意見です。

回答するにも時間がかかる

まず最初に質問者に分かってほしいのは、回答するにはそれなりに時間がかかるということです。

質問者の意図を理解して、実装方法を考えて、多くの場合は実際に自分で試しに組んでみて、エラーが起きないか、想定外のことはないかなど検証もしてから、質問者のレベルに応じて理解しやすいように文章を工夫しつつ回答を作成します。

簡単なものでも30分~1時間くらいかかります。難しいものだともっとかかりますし、1回で解決せず2回3回とやり取りが続くことも珍しくありません。

それだけ回答するのも大変な作業ですが、特に回答することによって報酬が発生するわけでもありません。

それなのになぜわざわざ回答するのかというと、より多くの作品を完成に導いてツクール界隈を盛り上げたいとか、ツクール界隈で技術力のある人として認知されたいとか、ついでに自作品の宣伝をしたいとか、高尚な思いから下賤な気持ちまで、様々な思いがあります。

忘れないでもらいたいのは、回答者は

  • 無報酬にもかかわらず
  • それなりの時間を割いて回答している

という点です。

それだけに、徒労になるようなやり取りは避けたいものです。

やりたいことを具体的に書こう

徒労を避けるために、回答者から質問者にいちばんお願いしたいことは、やりたいことを具体的に書いてほしいということです。

どういうことか、もう少し具体的に説明します。

作りたいものをストレートに書こう

例えば「属性有効度が0%の相手にも属性攻撃が当たるようにしたい」という質問があったとします。

この質問だけを見ると、「属性有効度を0%にしなければいいのでは?」としか思えません。

おそらくそういうことではないのだろうと推測はできますが、詳細が分からないので回答のしようがありません。

もっとストレートに「最初は炎耐性があるが、特定のアイテムを使うとバリアが剥がれて、炎攻撃が通るようにしたい」と書いてくれれば、「戦闘開始時にバトルイベントで炎属性0%のステートを付与して、アイテムの使用効果でそのステートを解除すればよい」と答えられます。

そうではなく「普通の炎攻撃は当たらないが、特定の炎スキルだけは当たるようにしたい」ということであれば、「炎属性を通常と特定スキル用の2つに分けて、普通の敵は2つとも同じ有効度を設定、耐性のある敵だけ炎(通常)は0%にして炎(特定スキル用)を100%にする」といった解決策が考えられます。

このように同じ「属性有効度が0%の相手にも属性攻撃が当たるようにしたい」という質問でも、実際に実現したい内容によって全く違う解決策となります。

具体性のない質問だと、何をやりたいのか要領を得ない質問になりがちで、結果として以下のような事態を招きます。

  • 詳細が分からないのでそもそも回答がもらえない
  • 回答者が具体的な仕様を推測することになり、質問者にとって的外れな回答が返ってくる
  • 回答者が複数の仕様を検討するという労力を強いられる

どんなスキルを作ろうとしているのか、どんな演出をしようとしているのか、具体的な活用イメージがあれば、それに沿って解決策を考えることができます。

量の観点は重要

前述の、属性バリアを剥がす話が、特定のボス戦だけの話であればいいのですが、通常の雑魚敵でもそういう敵がたくさんいる、しかも敵によって対象の属性も様々、という話であれば、全ての敵グループのバトルイベントで戦闘開始時に属性0%のステートを仕込むのは現実的ではなく、プラグインの導入を検討した方がいいかもしれません。

また属性を通常と特定スキル用の2つに分けるケースも、対象となる属性がいくつもあって、敵キャラも何百体いて、全部に設定するのが大変という話であれば、やはりプラグインを検討した方がいいかもしれません。

このように、特定のケースだけで必要になるのか、普遍的に必要なのかによって、デフォルトの機能を駆使すればできるのか、プラグインに頼った方がいいのかは異なります。

頑張ってプラグインを作ったのに、実は必要になるのは1回だけで、少し工夫すればデフォルトの機能だけで行けたというのでは、徒労になってしまいます。

逆に、せっかくいろいろ検証してデフォルトの機能だけで実現する方法を説明したのに、「その方法は知ってるがたくさんあって大変なのでプラグインをお願いしたかった」と質問者から言われたら、回答者としては「それならそうと初めから言ってほしい」という気持ちになります。

このように、量の観点は思わぬ誤解を招くものです。

基本的にケースが限定されていればいるほど、想定すべきことが減るので、作りやすくなります。

  • 特定のシーンだけで必要なのか、多くのケースで必要なのか
  • 対象は1つだけなのか、2~3個なのか、たくさんあるのか
  • 対象は敵だけなのか、味方だけなのか、両方なのか
  • ボス敵だけなのか、特定のアクターだけなのか、不特定多数なのか

といった情報を入れると、回答者側も考えやすくなってありがたいです。

丸投げの質問はやめよう

回答者に敬遠される質問の代表は、自分では大して何も考えずに、質問を丸投げされることです。

▲『天下御免!からくり屋敷』の合成画面

「アイテム合成システムの作り方を教えてください」とだけ質問されても、「アイテム合成」でイメージされるシステムの詳細な仕様は千差万別です。

合成施設があるのかメニューから合成できるのか、合成アイテムの設定方法は、合成画面のレイアウトは……など、少し考えても様々な要件が存在します。

そういうものを全てスルーして、ただ「アイテム合成システムの作り方を教えてください」とだけ書かれると、「この人は自分で何も考えてないんだな」という印象になります。真面目に作る気がなさそうだと考えて、こちらもスルーします。

まずは自分で検索しよう

まずは質問以前に、自分で検索などしてトライしましょう。

少し検索すればすぐに答えが見つかるようなことを質問されると、回答者としては

  • 右も左も分からない初心者、かつ自分で少しは考えようという気持ちがなさそう
  • そんな人には一から十まで懇切丁寧に書く必要があって大変
  • 今後も少し詰まるたびに質問しまくるのだろうか
  • そんな調子ではまずゲームなど完成しそうにない
  • だとすると自分が手取り足取り教えたところで徒労に終わる可能性が高い

と考えて、スルーしたくなります。

前述のアイテム合成システムであれば、Googleで「ツクール アイテム合成」などと検索すれば、いくつかプラグインや解説ページがヒットします。

それ以外でも、「ツクール」とスペース(空白)に続けて求めるシステムの名称を入れれば、たいてい解説ページやプラグインページが1つ2つヒットします。

それをもとに、「試してみたけどうまくいかなかった」「設定方法がよく分からなかった」「この動作が希望と違うので変更したい」などと質問すべきです。

もしそれっぽいページが見つからなかった場合は、「○○というキーワードで検索してみましたが見つかりませんでした」などと書くといいでしょう。

自分で試したことは書こう

実装するにあたって、既に自分で試してみたことがあれば、ちゃんと書くようにしましょう。

「ここまで既にできているのであれば、後はこれだけ教えれば済む」という方が、ゼロから回答するよりも、回答する側としては楽です。

また「実装方法としては何通りか考えられるが、この方法を試しているのなら、それを改良したこの実装方法を教えよう」というケースもあります。

「この方法を試してみたが、こういう理由でダメだった」というのが書かれていれば、同じ轍を踏まずに済みます。

全く手がかりがなく、どこから考えればいいか分からない、ということであれば、その通りに「どこから考えればいいか分からなかった」と書きましょう。

少なくとも丸投げでないことは分かりますので、どこから考え始めればいいか、どういう方針で実装すればいいか、アドバイスできると思います。

何がどううまくいっていないのかを書こう

よく「プラグインを試してみましたがうまくいきませんでした」とだけ書かれていて、何のプラグインを使ったのかも分からなければ、どううまくいっていないのかも分からないことがあります。

一口に「うまくいかなかった」と言われても、何も変化がなかったのか、エラーが出たのか、動くけれど意図した動きと違うのかによって、対処法は異なります。

  • 何というプラグインを
  • どのように設定して
  • このようになったが
  • 意図しているのはこういう動きである

というポイントを押さえて書いてもらえると、回答しやすくなります。

特に「変になった」とだけ書かれていて、どういう状態が正常なのか分からないことがよくあります。求めている状態は何なのかを、できるだけ言葉にして記述するか、言語化が難しければ絵に描いて画像を添付するなど、工夫してみましょう。

また場合によっては、単純な設定ミスや入力間違いでうまく動いていないだけかもしれません。イベント内容やプラグインの設定画面のスクリーンショットがあると、より確かな回答ができると思います。

プラグインのエラーの場合

エラー系の質問では、原因がプラグインの設定間違いや不具合、プラグイン同士の競合にある場合がほとんどです。

  • そのプラグインをOFFにした状態では正常に動作するのか
  • 他のプラグインをOFFにしたら正常に動作するのか

といった検証は質問者自身で行ってもらう必要があります。

そもそも何のプラグインをどう使っているかは質問者にしか分からないので、回答者側では検証のしようがありません。

他のプラグインを1つずつOFFにしていって、このプラグインがOFFの場合はうまくいくという時は、そのプラグインとの競合が原因として考えられます。

1つ1つプラグインのON/OFFを切り替えて試すのは、導入しているプラグインの数が多いと大変ですが、全く関係のないプラグイン同士が競合することは考えにくい(皆無ではない)ので、戦闘中における不具合なら戦闘システムに関わるプラグイン、メニュー画面における不具合ならメニューUIに関わるプラグインといった風に、関連するプラグインから優先的に調べていけば、比較的簡単に原因を特定することが可能です。

たまに、明らかに特定のプラグインに起因するエラーなのに、何のプラグインかが明記されていない質問がありますが、論外です。

必要な情報は全て書こう

前提として、回答者は質問者のことを知りません。

  • 全くの初心者なのか、ある程度慣れた人なのか
  • どのような制作環境なのか
  • どんなプラグインを導入しているか
  • どのようなゲームを作っているのか

といったことは基本的に分からないので、必要であれば書くようにしましょう。

自分の技術レベルは伝えよう

質問者の技術レベルは、回答者にとって気になるところです。

そのレベルによって、どこまで丁寧に説明しなければならないか、どのくらいは知識として持っている前提で説明してよいかが分かるからです。

せっかく回答したのに質問者にとって難しすぎて全然活用されなかったり、イチから丁寧に説明したのにそれは質問者にとって分かりきったことだったりしたら、せっかく割いた時間が無駄になってしまいます。

質問者の技術レベルが不明だと、自分の回答が徒労に終わる可能性もあるため、回答を避ける傾向にあります。

「ツクールを触って1週間です」「チュートリアルはひととおりやってみました」「他人のプラグインの一部修正はできるレベルです」「ツクールは初めてですが仕事でJavascriptは触ったことがあります」など、自分のレベル感を示す一文が前置きとして入っていると、回答者側はありがたいです。

ツクールのバージョンは明記しよう

けっこう忘れられがちですが、RPGツクールMZなのか、MVなのか、はたまた違うバージョンなのか、ということです。

公式フォーラムやツクマテは、MZ、MV、その他バージョンで分かれているので、それで十分と思われがちですが、特に公式フォーラムは新着情報のところから見ることも多く、注意しないとMZかMVかを見落としてしまいます。

MZ/MVは共通して動作することも多いですが、UI関係やアニメーション系は相違点も多く、MZのつもりで対応したら実はMVだったとか、その逆とか、せっかくの回答が無駄になったら徒労感も大きいです。

なるべく質問本文に、ツクールのバージョンは明記するようにしましょう。

回答をもらったら感謝と報告

最低限の礼儀として、回答をもらったらお礼はしましょう。

すぐに回答内容を試せるようなら、試した結果を報告するとともにお礼をしましょう。すぐに試せない時は、いったんお礼だけ述べて、後で試してみる旨を書くようにしましょう。

一般のビジネスマナーと同様、なるべく回答をもらってから24時間以内には、何らかの反応を返すのが望ましいです。

回答者は、回答しっぱなしではなく、

  • この内容で質問者が理解できたかどうか
  • この回答が質問の意図と合っているかどうか
  • この回答に沿って試してうまくいったかどうか

を非常に気にしています。

せっかく時間をかけて質問に答えたのに、何も反応が返ってこないでは、回答者としてはとても虚しい気持ちになります。

回答がもらえているのに、お礼どころか何の反応も返していない質問者は、二度と回答してもらえることはないでしょう。

自己解決した場合も解法を書こう

質問して回答を待っている間に、自分でやり方を思いついたとか、他の方法を試したらうまくいって、自己解決したということもあります。

そのような時によく、「自己解決しました」とだけ報告して終了されていることがありますが、非常にもったいないと思います。

自分が行き詰まって質問した内容ならば、他の人も同じように行き詰まっているかもしれません。そんな時に、どのようにやってみてうまくいったのかが書かれていれば、その人の助けになります。自分が回答者になれるチャンスなのです。

自己解決した場合でも、どう解決できたのかを書くようにしましょう。

まとめ

まとめると、以下のような質問には回答が付きにくいです。

  • 具体性に乏しく要領を得ない質問
  • 自分で試してみた形跡のない質問
  • ただうまくいかなかった、エラーが出たとだけ書かれて詳細がない質問
  • 過去に回答をもらっても何も反応していない質問者

逆に以下のようなことを意識して質問してもらえると、回答者側としても回答しやすくなります。

  • 自分の技術レベルやツクールのバージョンを記載
  • まずは自分で検索・試行・検証してみる
  • 作りたいものをストレートにかつ詳しく書く
  • 特定のケースの話なのか不特定多数の話なのか
  • 求める状態と現在の状態を書く
  • 回答をもらったら感謝と結果の報告

あまりこういう口うるさいことは言わないようにしているのですが、なかなかこの手のことは教えてくれる機会もないですし、今回はアドベントカレンダーということで、敢えて書いてみました。

質問者の方にとっては、質問の際にどういう情報を書けばいいのか、分かるように解説したつもりです。

回答者の方にとっても、詳しい内容をヒアリングする際の参考資料になるのではないかと思います。

健全なフォーラム運営がなされて、ツクール界隈の健全なる発展に、少しでも協力できれば幸いです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。