開発日誌

テクニック

[ テクニック ] [ 素材 ] [ プラグイン/スクリプト ] 敵キャラの行動パターンに複数条件を指定

2022-02-11 14:54:11

敵キャラの行動パターンに複数の条件を指定できるようにするプラグインを作成しました。

これによって、残りHPが少なくてかつ特定ターンに限り強力な回復魔法を使ってくる敵とか、こちらのパーティーのレベルに応じて行動のローテーションが変化していくような敵を、バトルイベントでの制御やメモ欄での複雑な記述なしに作ることができます。

RPGツクールMV/MZの両方に対応しています。

行動パターンの条件指定

敵キャラの行動パターンには、ターン数や自身のHP/MPの範囲、かかっているステート、パーティーの平均レベルがいくつ以上、およびスイッチと、様々な発動条件を指定することが可能です。

しかし、これらの条件は1つの行動パターンにつき1つの条件しか使用できず、標準で複数条件を実現しようとすると、バトルイベントとスイッチを組み合わせるなど工夫しなければなりません。

この行動パターンの条件設定は初期の頃のRPGツクールから驚くほど進化しておらず、むしろ劣化しているとも思えるほどです。条件のラジオボタンがチェックボックスにさえなってくれれば……!と思っていた人は多いのではないでしょうか。

行動パターンの設定項目にはメモ欄もなく、プラグインで制御するのも非常に難しいのですが、今回やりやすい設定方法を思いついたのでプラグイン化しました。

事前準備

まずは「データベース」の「スキル」で、ダミーのスキルを1つ追加します。

名前は何でもいいですが「↓条件追加」などとしておくと分かりやすいかと思います。

ダミーなのでスキルの設定内容は何もいりません。

そしてこのスキルを、プラグインパラメータの「追加条件用スキル」に指定します。

以上で準備は完了です。

複数条件の設定方法

このプラグインの機能としては、この「追加条件用スキル」がスキルとして設定された行動パターンの条件を、直後の行動パターンの条件に追加する、というものです。

例えば以下のような行動パターンが設定されている場合、

スキル 条件
↓条件追加 パーティーLV>=25
ブリザード ターン 3+4*X

パーティーの平均レベルが25以上で、かつターン数が3+4*X(3,7,11…ターン目)の時にブリザードが発動します。

追加条件は2個以上重ねることもでき、例えば以下のような場合は、

スキル 条件
↓条件追加 パーティーLV>=30
↓条件追加 HP 0%~50%
リカバー ターン 1+4*X

パーティーの平均レベルが30以上で、かつ自分のHPが0~50%の範囲内で、かつターン数が1+4*X(1,4,9…ターン目)の時にリカバーが発動します。

追加条件はAND条件として追加され、全ての条件を満たした場合のみ発動可能になります。OR条件は指定できないので、OR条件にしたい場合はその分だけ行動パターンを作成してやる必要があります。

なおレーティングについては、追加条件でない行動パターンのレーティングが採用され、追加条件のレーティングは無視されます。

複数条件が簡単に設定できることで、より敵キャラの行動パターンを細かく制御できるようになりますが、追加条件は矛盾や漏れがないように気を付けないと、発動し得ない行動になったり、どの条件も当てはまらなくて有効な行動がなくなったりといった事態も起こりますので、ご注意ください。

またそもそもの問題として、標準で設定可能な条件の種類が少なく、これは本プラグインでも解消するものではないので、そこはバトルイベントや他プラグインと併用していくことになるかと思います。

プラグインの実装と注意点

プラグインの実装としては、敵キャラのデータ(Enemies.json)を読み込んだ際に、行動パターンの配列を変更して条件設定を配列に変換し、戦闘行動の条件判定の際は全ての条件を満たしているか判定しているだけです。

敵キャラの行動パターンを制御しているプラグインとは競合や意図通りに動作しない可能性があるので、ご注意ください。

拙作プラグイン「複数回行動条件設定プラグイン(PANDA_MultiAction.js)」はメモ欄に行動パターンの番号を記述する必要がありますが、これと併用した場合、この行動パターン番号は条件追加の行動パターンを無視してカウントする点にご注意ください。

複数回行動条件設定プラグインも、これと同じようにダミーのスキルを作って、これより下の行動は2回目の行動でのみ発動、みたいに設定できた方が楽かもしれませんね。気が向いたらそのうちやります。

質問やアドバイスなどはコメント欄まで、お気軽にお願いします。素材利用条件などについては、このサイトについての「提供素材について」の項目などをご覧ください。

[ テクニック ] [ 素材 ] [ プラグイン/スクリプト ] 数値入力ウィンドウを強化

2022-01-30 22:54:58

イベントコマンド「数値入力の処理」のウィンドウを機能強化して、キャンセルボタンを有効にしたり、数値入力の前後に文字列を追加したり、入力可能な数値の最小値・最大値を指定できるプラグインを作成しました。

RPGツクールMZ専用です。ウィンドウ系は仕様が異なるため、MVでは使えませんのでご注意ください。

※ 2025-01-04追記:
Version.1.1.0にアップデートして、桁移動ボタンの追加とキャンセルボタンの位置指定が可能になりました。機能の詳細は「数値入力ウィンドウをさらに強化」をご参照ください。

※ 2022-03-30追記:
オプションでタッチUIをOFFにした場合エラーが発生するバグを修正しました。お手数ですが、Version.1.0.1にアップデートをお願いします。

標準のイベントコマンド「数値入力の処理」では、入力した数値を受け取る変数と数値の桁数を指定するだけですが、このプラグインを導入すると、追加で以下のことができるようになります。

  • キャンセルボタンで数値入力をキャンセル
  • 数値入力の前後に文字列を追加
  • 入力可能な数値の最小値・最大値を設定

標準の「数値入力の処理」ではキャンセルが効かず、数値が0だったらキャンセルと見なすといった処理にすることが多いですが、それだと支障のあるケースもあると思います。

「キャンセル有効」をONにすると、ESCキーやキャンセルボタンで数値入力をキャンセルすることができるようになります。キャンセルした際に変数に格納する数値を指定できるので、-1など通常では入力できない数値を設定しておいて、変数の値が-1かどうかで分岐することができます。

また、数値入力の前後に文字列を追加することができます。入力値の説明や単位などを追記して、分かりやすくすることができます。文字列には各種制御文字も使用可能です。

さらに、入力可能な数値の最小値・最大値を指定できます。最小値・最大値はそれぞれ、直接数値で指定することも、変数で指定することも可能です。

最小値・最大値を可変にしたい場合は、最小値・最大値を変数に格納して、その変数を指定するといった方法になるかと思います。

なお、最小値・最大値の指定処理はトリアコンタンさんのプラグインを参考にさせていただいております。ありがとうございます。

具体的な使い方としては、プラグインコマンド「数値入力ウィンドウ設定」でこれらの設定をすると、次の「数値入力の処理」の際に適用されます。

一度「数値入力の処理」が行われると、これらの設定はリセットされるので、「数値入力の処理」の直前でプラグインコマンドを呼び出すようにするといいでしょう。

ただしRPGツクールの仕様上、「文章の表示」と「数値入力の処理」の間に別の処理を挟むと、数値入力の前にメッセージウィンドウが閉じてしまうため、本当の直前ではなく「文章の表示」よりも前に呼び出す必要があることに、ご注意ください。

具体的な活用方法ですが、私は銀行システムを作る際に活用しています。

銀行に入出金できるのは1000G単位にしたかったため、後ろに文字列で「000G」と追加しています。

また、入力可能な数値の最大値を設定して、所持金以上に預け入れたり、預金額以上に引き出したりできないようにしています。

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[ テクニック ] [ 素材 ] [ プラグイン/スクリプト ] [ ツクール情報 ] 敵の蘇生対象がランダムにならない不具合修正

2022-01-19 01:47:24

敵が蘇生スキルを使ってくる際に、死亡者が複数いたとしても、ランダムではなく必ず先頭の死亡者が対象になってしまうという、RPGツクールMZのコアスクリプトの不具合を修正します。

RPGツクールMVにも同様の不具合があるのですが、ターゲット選択部分のコアスクリプトの構造が微妙に異なるため、今回はMZ専用プラグインとなります。MVへの移植も容易なのですが、検証作業がめんd

以前にも「正しい蘇生術」で、RPGツクールVXに同様のプリセットスクリプトの不具合があることを解明し、修正スクリプトも公開していました。

当時の不具合は、Game_BattleActionのdecide_random_targetメソッドにおいて、対象が味方単体(for_friend?)ならば(生存中の)味方からターゲットをランダムに決定、対象が戦闘不能の味方単体(for_dead_friend?)ならば戦闘不能の味方からランダムに決定、としているつもりが、for_friend?にはfor_dead_friend?の場合も含まれるので、この判定順序では対象を戦闘不能の味方にしていても通常の味方単体で選ばれてしまう、というものでした。

実はMZが出た時に、この不具合がどうなっているのか、コアスクリプトを調べてみたことがあります。

対応するGame_ActionのdecideRandomTargetメソッドを見ると、ちゃんと戦闘不能の味方(isForDeadFriend)を先に判別しており、さすがに不具合は解消されているものだと思っていました。

ところが最近になって、蘇生魔法を使用する敵を作って戦闘テストをしていたところ、何度試しても先頭の死亡者ばかり蘇生してきます。

そこで改めてコアスクリプトを検証してみたところ、Game_ActionのdecideRandomTargetは敵の通常行動時に呼ばれるものではなく、敵がターゲットを決めるメソッドはmakeTargetsであることが判明しました。そしてここから呼ばれているtargetsForDeadを見ると、敵が蘇生スキルを使用するという前提がないせいか、先頭の死亡者が選ばれるような構造になっていました。

本プラグインはそれを修正して、敵が蘇生スキルを使ってくる際に対象者をランダムに選ぶようにしたものです。

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[ テクニック ] [ 素材 ] [ プラグイン/スクリプト ] 能力値&敵キャラの調整Excelツール更新

2022-01-06 21:12:18

RPGツクールMV/MZ用に公開していた「エクセルで能力値かんたん調整」と「エクセルで敵キャラかんたん設定」の2つのExcelツールに不具合があったので、修正版をアップしました。

※ 2023-04-03追記
名前やメモ欄に"があると正常に出力できない不具合を修正しました

各ツールの使い方については、それぞれの記事を参照してください。

今回修正したのは、各職業や敵キャラのメモ欄等に\で始まる制御文字を使用していると、出力されたjsonファイルが読み込めなくなるという不具合です。jsonファイルの中では\が特殊な意味を持つので、\自体を出力するためには \\ としないといけないのを、そのまま \ と出力してしまったため、読み込みエラーが起きていました。エラー報告をいただき、ありがとうございました。

制御文字を使っていない場合は特に関係ありませんが、何かの拍子に制御文字が入らないとも限らないので、念のためアップデートをお願いいたします。

なお、64bit版のExcelをお使いの場合は、そのままでは動作しませんので、
https://tablacus.github.io/scriptcontrol.html
から、64bit版で動作するScriptControlである「Tablacus Script Control 64」をダウンロード&インストールしてください。

これはtwitterツクールフォーラムでしか言及していなかったと思うので、改めてエクセルツール上にも記載しました。

もしこれらのツールを使って、うまく動作しないだとか、jsonファイルが読み込めなくなったといったことがありましたら、お気軽にご相談ください。場合によってはファイルの復旧が不可能なこともありますが、その時はご容赦ください。

[ テクニック ] 不可視シンボルエンカウント・再

2021-12-13 00:02:36

本記事は「ツクールフォーラムアドベントカレンダー Advent Calendar 2021」12月13日分の投稿記事です。

シンボルエンカウントだけど、普段は敵シンボルは見えない――採用しているゲームも少なく定まった呼び名もないようなので、「不可視シンボルエンカウント」と名付けています。

この「不可視シンボルエンカウント」は前作『天下御免!からくり屋敷』で採用し、その時も記事にしていますが、制作中の新作でも採用しているため、改めてここで解説します。

代表的な採用ゲームは大昔の『英雄伝説I』で、それを参考にしています。年がバレそう……。

ランダムエンカウントとシンボルエンカウント

RPGにおけるエンカウント方式には大きく分けて、ランダムエンカウントとシンボルエンカウントの2種類があります。

ランダムエンカウントは、歩いているうちにランダムでエンカウントが発生する方式です。

▲RPGツクールVX時代のランダムエンカウント設定

長所としては、だいたいのエンカウント回数を決められるので想定到達レベルを設定しやすい、ほどよく緊張感を持たせられるなどが挙げられます。RPGツクールシリーズのデフォルトもこのランダムエンカウントで、何よりも作りやすいのが一番の長所です。

一方で、探索中にばんばんエンカウントするのが邪魔だったり、運が悪いと1歩進んだだけでエンカウントしたり、また緊張感がある反面、目的地まであと少しのところでエンカウントした時の鬱陶しさなどが短所として挙げられ、近年はランダムエンカウントは好まれない傾向にあります。

対するシンボルエンカウントは、敵のシンボルがあらかじめ見えており、シンボルと接触することで戦闘が始まる方式です。

長所としては、何よりも戦闘するかしないかを自由に決められる点です。しかしそれは同時に短所にもなり得ます。戦闘を全て避けて進むこともできてしまうため、緊張感がなくなります。戦闘を避けることによって成長も遅れるため、想定到達レベルの設定が困難になります。

敵シンボルを多く配置したり狭くて避けにくい通路に配置したりすることで、ある程度の戦闘を強制させることはできますが、それをするとシンボルエンカウントの長所を潰してしまいます。敵シンボルに囲まれて連続戦闘を強いられたり、敵シンボルが通り過ぎるのを待たされてイライラしたり、といった短所も存在します。

不可視シンボルエンカウント

そんな両者のエンカウント方式の折衷案として、「不可視シンボルエンカウント」はいかがでしょう。

前作『天下御免!からくり屋敷』で試しに採用してみたのですが、割と意図通りの効果が得られたので、現在制作中の新作でもこの方式を採用しています。

プレイする側の感覚としてはランダムエンカウントに近いですが、敵シンボルの配置を工夫することでエンカウント頻度を調整することが可能です。

例えば、宝箱のある寄り道付近に敵シンボルを配置することで、宝箱を無視して進めば敵と遭わないが、宝箱を取ろうとすると1回エンカウントが発生する、みたいな絶妙な調整が可能になります。

一度倒したシンボルは一定時間 or マップを切り替えるまで復活しないようにしておけば、ランダムエンカウントでありがちな、ダンジョン探索中にどんどんエンカウントしてしまうといった事態も防ぐことができます。

敵シンボルは見えないため、シンボルを避けるのに神経を使うといったシンボルエンカウントでの短所もありません。

また、敵シンボルがあらかじめ見えるようになるアイテムやスキルを用意して、エンカウントを避けたい場合はそれを使うといったことも可能です。

仕様いろいろ

実装にあたっていろいろと細かい仕様は付けています。

前作『天下御免!からくり屋敷』と制作中の新作とでいくつか異なる点はありますが、概ね似たような仕様にしています。

  • 当初は敵シンボルが見えず、接触すると見えるようになる。
  • 戦闘からはボス戦を除いて100%逃げられるが、逃げた後はその敵シンボルが見えるようになって追いかけてくるので、実際にプレイヤーを操作して逃げる必要がある。
  • 逃げた直後は一定時間足止め。足止め時間を長くするスキル等も用意。
  • 一定範囲内に接近するとプレイヤーを追いかけてくるようになる。
  • 敵シンボルは初期位置からの移動範囲が決まっており、その範囲を超えては動かない。
  • プレイヤーの背後から接触された場合は確率で不意打ちとなる。
  • 逆に敵シンボルの背後から接触した場合は先制攻撃となる。
  • 倒した敵シンボルはマップを切り替えるまで復活しない。
  • アイテムやスキルで敵シンボルを最初から見えるようにできる。

実装としては自作プラグインとコモンイベントを併用しています。

敵シンボルを透明にしたり、移動範囲の設定やプレイヤーが一定範囲に接近したかどうかの判定はプラグインで行い、足止めや追いかけるなどの動作、戦闘の開始などについてはコモンイベントで行っています。

1つの敵シンボルに対してセルフスイッチA~Dをフル活用しています。

  • なし:通常時(自律移動:ランダム)
  • A:消滅中(既に倒した状態)
  • B:追跡中(自律移動:近づく、移動速度:2倍速)
  • C:停止中(逃げた直後の足止め時間)
  • D:可視状態

セルフスイッチの切り替えはプラグインで行い、セルフスイッチの状態に応じて敵シンボルのイベントページを分けています。

敵シンボルのイベント名は、$[1,2,3]という風にして、カッコ内に敵グループIDをカンマ区切りで指定しています。

指定された敵グループIDの中からランダムで、実際にエンカウントする敵グループが決まる仕組みです。

敵グループの決定はマップの切り替えの際に行われるので、逃げて同じシンボルに再度接触すると違う敵グループになっているということはありません。

まとめ

ワールドマップの場合、敵シンボルが数百体にも及ぶことになって重さが心配になりますが、画面に表示されている範囲から遠いイベントに関しては処理を行わないというRPGツクールのコアスクリプトの仕様があるため、そこまで重くはなりません。

実際に現在制作中の新作では、200体あまりの敵シンボルを配置していますが、特に重くはなっていません。

本当はプラグインを公開できればいいのですが、コモンイベントを併用するのと、細かい仕様は人によってかなり好みがあるので、紹介のみに留めておきます。

質問等はコメントなりで問い合わせていただければ、可能な限り回答します。

それでは読んでいただきありがとうございました。