開発日誌

天下御免!からくり屋敷

[ ゲームリリース情報 ] [ 天下御免!からくり屋敷 ] [ サイト情報 ] 『天下御免!からくり屋敷』久々のアップデート

2023-08-10 01:58:20

和風探索RPG『天下御免!からくり屋敷』をバージョン1.2.8にアップデートしました。

ダウンロードページからダウンロードをお願いします。

実に5年ぶりの更新ですね。新要素があるわけではなく、バグ修正やバランス調整が中心となります。

5年前の記事で、致命的な不具合がない限りは最後の更新だと宣言していましたが、致命的な不具合が見つかったので更新することになりました。

長年PRしてきた甲斐あって、みなみよつばさんによる『天下御免!からくり屋敷』の実況プレイがアップされています。

待望の実況プレイ動画なので、感動もひとしお。

ですが、実況動画を見ていたら、途中のイベントで「平賀源内」の名前がなぜか「兵具屋」になっているという謎のバグを発見……!

慌てて調べてみたら、兵具屋の女性店員での売却イベントの際に、名前の代入をミスって起きる不具合でした。他の売却イベントでは大丈夫だったので、ピンポイントに踏み抜かれたバグ!

このままだと終盤の良いところで「兵具屋」を連呼してワケの分からないことになってしまいます。これは間違いなく致命的……!

現状の『天下御免!からくり屋敷』のプロジェクトファイルは続編の歴史編を途中まで作ってしまっていたのですが、幸い歴史編の制作に取りかかる前のプロジェクトファイルは残してあったので、それに修正を加えることにしました。

これ以外にも、中ボスの牛頭馬頭の体力が本来の10分の1になっているというミスをはじめ、いくつか細かいバグはありました。装備品や方術の効果も歴史編の制作中に一部調整したりしていました。これらの修正点は都度メモってはいたので、それをもとに旧プロジェクトファイルを修正。

いくつか、メモには書いてないけど修正されていたようなところもあって、本当に修正しきれているのか怪しいところもありますが、まあこれでいいだろうw

本作『天下御免!からくり屋敷』。

主人公はオッサンで悪人顔ですが、ネタの詰まった台詞の数々や、史実を巧みにアレンジした設定や台詞、和風で豊富なアイテムや敵キャラ、そして時々流れる歴史解説でお勉強にもなるという、本当に楽しい作品です。ぜひ実況動画を視聴&実際にプレイしてみてください!

[ 天下御免!からくり屋敷 ] [ 素材 ] [ ツクール情報 ] [ その他の雑記 ] MV Trinity素材集を紐解いてみる

2020-09-01 23:01:03

RPGツクールMZのバンドル版で付属してきた(現在は通常DLC製品として購入可)「RPGツクールMV Trinity グラフィック&音楽素材集」。

PS4やSwitch用のツクールとして発売された「RPGツクールMV Trinity」に同梱されていた素材が、MZ向け(MVでも使用可)の素材集としてリパッケージされたものです。

まあいくつか使えるものがあればいいな、ぐらいの気持ちで購入しましたが、収録点数がとにかく多いです。戦闘背景が50点、歩行グラが48人分+扉などのオブジェクト多数、顔グラ48人分、敵キャラ50体、タイルセットがなんと133ファイル、BGMが100弱、SEが200弱、バストアップイラストが250点あまり。過去素材の再録とは言え、この点数は半端ないですね。

もともとMV Trinityは、ファンタジー、SF、和風、中華、アラビアン、現代、スチームパンク、ダークファンタジーの8種類のテーマが設定されており、タイルセットや敵キャラ、BGMなども各テーマに沿ったものが収録されています。

ただ、タイルセットはともかく、敵キャラなどは各テーマで10体前後しかないため、中華やアラビアを舞台にした長編RPGを作るには足りない感じがします。どちらかというと「ドラクエ3」のジパングみたいに(例えが古い)、そういう雰囲気の地方・町が1つ存在する、といった使い方が適している気がします。アラビアン素材は砂漠の町を作るのに役立ちそうですね。

基本はVX Aceや素材集・和の素材を、MVの素材規格およびテイストに合わせて描き直したものが多く、MVやMZの素材と混ぜても違和感のない、それでいてMVのような紛い物感もない、使いやすそうな素材が多い印象です。

和風のタイルセットも、もともとMV用に発売されていた公式素材集の和・闇/光/黄昏の、どうしても作り物っぽさが拭えない質感とは異なり、VX時代に発売された素材集・和をベースにしたものとなっているため、MV/MZで和風モノを作るのにも困らなそうです。

実際には、和素材集の時にはなかった小物が追加された反面、一部の小物はなくなったりもしているため、全く問題ないかと言われると、そんなことはありません。ただ、これだけベースがあれば、他の素材と組み合わせるなど工夫次第で、それなりの和風モノは作れそうです。

実はこのところ、『天下御免!からくり屋敷』の続編完成が例えば10年後になるとして、今のままVXで作り続けていていいのかという問題に悩み始めていたのですが、この素材があればMZでリメイクすることも不可能ではなさそうです。その前に、10年後になるのを何とかしろって感じもしますが……。

あと、敵キャラにこんな奴もいました。

中華テーマということで収録されてるんだろうと思いますが、お前、和素材集のヒグマを塗り直しただけじゃねーか。騙されないぞ!

作者降臨させたい時に役立ちそうです。

実は『天下御免!からくり屋敷』の歴史編では、2017年頃に行けるようになっていて、そこで作品のリリースを断念しそうな作者を倒す、というシナリオ構想があったのですが、作者がボスで襲ってくるというのはクソゲーすぎて、歴史編の数を減らすとともにボツにした経緯があるので、日の目を見ることはなさそうです。

顔グラやご丁寧に立ち絵まであるので、ネタ画像の素材にはなってくれそうですけど。

[ 天下御免!からくり屋敷 ] [ テクニック ] [ 素材 ] お行儀良く寝ましょう

2020-08-09 22:48:30

和風マップチップの豪華なお布団って、横に2マス分ありますね。

ここに一人を寝かすと、布団の左右どちらかに寄ってしまって、見栄えが良くありません。

そんなにこだわらなくても、という気もしますが、シリアスなシーンでは、そういう突っ込み甲斐のある部分はできるだけ避けた方が無難です。

というわけで、ちゃんとお布団の真ん中で寝てくれるように直しました。

具体的にどうしたかと言うと、専用のキャラクターチップを作って対処しました。

専用キャラチップは、横幅が通常の2倍になっており、そのうち左右どちらかにキャラを寄せた形にしています。

キャラクターチップは置いたマスの下端中央が基準になるので、こうすれば布団の中央にキャラを寝かすことができます。

しかし、ここで問題がいくつか。

2マス分の布団のうち、イベントが設置されているのは左右どちらかだけになるので、このままだと話しかけたりした場合に片方でしかイベントが発生しませんし、反対側から話しかけようとすると顔の半分を踏んづけてしまうことになります。

というわけで、もう片方にも通行不可の空のイベントを設置して、同じイベントが発生するようにしました。これだとセルフスイッチとかは使えなくなるので、スイッチやコモンイベントを多用することになりますが。

これでちゃんと布団の中央で寝てくれるようになりましたが、今度は目が開いたままなのが気になってきました。

特に死に別れのシーンなどでは、「目を開けてくれ!」などの台詞も飛び出しているのに、キャラは目が開いてるじゃん、というのもオマヌケな感じです。これはキャラチップを加工して、閉じた目のキャラ画像にしました。この程度なら何とかできます。

さらに、フキダシアイコンは元のマスが基準になるので、このままだとずれて表示されてしまいます。

これはスクリプトを作って対処しました。相変わらずRPGツクールVX用ですが、スクリプトを公開します。

指定した番号の変数にX座標・Y座標の調整値を代入しておくと、その分だけフキダシアイコンがずれて表示されるようになります。X座標だけで十分でしたが、ついでなのでY座標も調整できるようにしました。表示後に変数の値を0にするのを、忘れないようにしてください。

質問やアドバイスなどはコメント欄まで、お気軽にどうぞ。素材利用条件などについては、このサイトについての「提供素材について」の項目などをご覧ください。

簡易な実装なので、いくつか制約があります。

調整は同時に表示されているフキダシアイコン全てに適用されます。特定のキャラのフキダシアイコンのみを調整することはできません。また、調整値の変数はフキダシアイコンが消えるまで保持しておかないといけません。「フキダシアイコンの表示」コマンドの直後で調整値の変数を0に戻すと、調整値が反映されなくなってしまいます。必ずフキダシアイコンが消えるまで待ってから、調整値を戻しましょう。

うーん……。

最初はお布団の真ん中でお行儀良く寝かせたいだけだったのに、一つを直したことによって連鎖的に他の部分も直す必要が出てきてしまうという。まさに角を矯めて牛を殺す状態になるため、ある程度のところで割り切るのが必須だと思いました。

[ 天下御免!からくり屋敷 ] たまには進捗報告

2020-08-08 17:23:05

最近はRPGツクールMZの情報や制作講座などテクニックの話題ばかりだったので、たまには『天下御免!からくり屋敷』歴史編制作の進捗報告を。

幕間イベントが多めで進みの悪かった第7幕が、ようやく完成しました。

歴史編を制作すると決めた当初から頭の中にあったシーンの多い幕となっています。

思い入れが強いだけに、前後の繋がり、台詞回し、キャラクターの移動に至るまで、しっくり来るものを作るまでになかなか時間を要しましたが、ようやく満足のいく仕上がりとなりました。

まだ3幕ほど残っていますが、後はそこまで長くならない予定。

急ピッチで進めて、8月中にはこの第3話を終わらせたいところですね。

[ 天下御免!からくり屋敷 ] [ テクニック ] ツクールでルビを振る

2020-07-19 23:16:37

RPGツクールMZ』が発表されてから、その新情報関連と制作関連の記事とで、週2本ペースで記事を公開しております。年2本だった時もあったのに、奇跡じゃなかろうか。

もっと記事を出していきたいのですが、制作過程の記事はあまりネタバレしすぎるのもどうかという説があります。そこで、これからは技術的な話題も積極的に取り扱っていこうと思います。

さて、『天下御免!からくり屋敷』では、スクリプトを組んで漢字にルビを振っています。詳しくは「RubyでRubyを…」の記事をご覧ください。

ルビ振りを可能にするスクリプト素材はいくつかありましたが、画面構成全体や文字表示など根幹の部分に関わってくるため、自力で実装したという経緯があります。そういう経緯があるため、私もスクリプト素材という形で提供はしていませんでした。

ただ、どのようにルビ振りを実装しているのか、注意する点や苦労した点はどんなところかを公開して、制作者の方の参考にしていただければと思います。RPGツクールVXでの実装ですが、基本的な考え方は変わらないはずです。

最初に大変なのは、上でも書いた通り、画面構成全体をいじる必要がある点。

ルビの分の高さを確保する必要があるため、テキストの1行の高さをデフォルトの24から32に拡大しています。

通常の文章表示では、4行あったメッセージウィンドウを3行にすれば、ちょうどいい感じに収まります。ただし戦闘メッセージの場合は、2行ある物理スキルの発動メッセージ→会心の一撃→敵のダメージ→敵のステータス変化のように、最大で5行を要するケースがあるので、既に3行表示されていたら最後の1行を消して上書きする、といった処理を加える必要があります。VX Aceからはメッセージログ形式になったので、意識する必要はないかもしれませんが。

また、メッセージ表示以外にも、アイテムやスキル、敵の選択ウィンドウやステータスウィンドウ、店での購入ウィンドウなど、ほとんど全てのウィンドウのレイアウトを調整する必要があります。ウィンドウレイアウトはスクリプトやプラグインでデフォルトから変えている場合も多いと思いますが、まずルビには対応していないので、自力で調整しなければなりません。

さて、ルビの入力は、{漢|かん}{字|じ}のように、ルビを振りたい文字を{ }で囲んで、|の手前に漢字、後ろにルビを入力すれば、ルビ付きのテキストとして表示されるようにしました。

文章の表示だけでなく、アクター名、職業名、スキル名、アイテム名、敵キャラ名、およびスキルやアイテムの説明文や、使用時メッセージなどでも、有効にしています。

表示部分のスクリプトはこんな感じ。

1文字ずつ取り出して、漢字部分とルビ部分に分けて出力しています。

ここで問題は、ルビが多いとテキストボックスの横幅に収まりきらない点。

文章の表示のテキストボックスは、横幅を超えると勝手に改行されてしまいます。そこで、ダミーのアクターをいくつか作って、長いルビ付きの言葉をアクター名に設定し、文章の表示の中で\N[n]として用いています。こうすれば、ルビが多くても横幅に収めることができます。

ただし、アクター名の入力欄にも文字数制限があるので、ルビの量が多いとダミーのアクターがいくつも必要になります。1文字微妙にオーバーする!といった苦労は日常茶飯事で、このあたりの調整は都度やる形になるので、テキストの入力は通常時よりもかなり時間がかかります。これが、制作がなかなか進まない原因でもあります(ということにしておこう)。

また、ルビは漢字1字につき3文字までが限度で、4文字以上だと文字が潰れてしまってさすがに読めません。

だいたいは3文字に収まるのですが、隼(はやぶさ)とか亥(いのしし)とか、作っているとけっこう4文字のルビが登場します。こういう場合は、{亥の|いのしし  }{足|た}{袋|び}のように、次の文字と組み合わせています。

ただ、鉞(まさかり)はこれ1文字だけしかないので、前後に半角スペースを入れて{ 鉞 |まさかり}としました。また、狼男(おおかみおとこ)も漢字2文字に対してルビ7文字なので、{狼 |おおかみ}{男|おとこ}と間に半角スペースを補っています。一番悩んだのが、石川五右衛門の方術の金鯱(きんのしゃちほこ)で、仕方ないので間に全角スペースを挟んで{金 鯱|きんのしゃちほこ}としました。今後、源順(みなもとのしたごう)とかを登場させることにならないか不安。

最後に悩ましい点としては、どこまでルビを振ればいいのかという点。

さすがにフリーゲームを小学生とかがプレイするとも思えないので、小学校レベルの漢字にまでルビを振る必要はないと思います。

とは言え、漢字自体は小学校で習うけど、熟語としてはあまり馴染みがなかったりすると、読みが自信ない場合もあり得ます。

実際、実況プレイ動画を見ていても、普段使わないような語句の読みで間違っていたり、詰まっているのをよく見かけます。

初めは固有名詞や常用漢字以外のものに限ってルビを振っていましたが、だんだんとルビ振りの基準レベルを下げていき、最近では「見る」「思う」とかのレベルでも、たまにルビを振ったりしています。そこまでするならいっそ全部に振ってしまえば、悩む必要もなくなるとは思うのですが、それはそれで作業が大変すぎるので、難しいところです。

ルビは日本語だけの特殊事情なため、海外展開にシフトしつつある現状のツクール事情では、今後もデフォルト機能として組み込まれることはないと思いますが、格調高い言葉を使いつつも、難しくしすぎないというバランスを取るのに、ルビ振りのシステムは欠かせないものだろうと思います。

最初に述べたように、ルビ振りシステムは画面全体の構成などに関わるため、なかなかプラグインとして素材化することが難しいですが、今後も必須レベルで組み込んでいきたいと思います。