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[ テクニック ] ブラウザプレイでBGMと演出のズレをなくす方法

2025-12-09 00:00:06

本記事は「ゲーム制作アドベントカレンダー(旧ツクールアドベントカレンダー)Advent Calendar 2025」12月9日分の投稿記事です。

今年2025年はついに、5年にわたって制作してきた長編大河RPG『王国の英雄』を完成させ、公開しました。

今回は、その時にエンディングのイベントを作った経験から、エンディングの演出でよくある、画面上のキャラの動きとBGMとをシンクロさせる時の注意点とその対処法について解説します。

エンディングに限らず、BGMと演出を同期させるようなシーンで役立ちます。

またブラウザプレイで顕著ですが、ダウンロード版でも多少の遅延は発生しうるので、対策するに越したことはありません。

BGMと演出の同期

エンディングでよくある演出が、メッセージを表示せずキャラの動きだけでシーンを連続して見せるような演出。これまでの冒険の回想や主人公たちのその後の様子などが、いわゆる「人形劇」で次々と流れていく演出です。

この時、BGMの盛り上がりや転調のタイミングが演出とシンクロしていると、とても印象的に映ります。

しかし、どんなにタイミングをバッチリ合わせたとしても、バックグラウンド処理の影響や画像等の読み込みの遅延により、微妙にズレが発生します。

制作時は自分のPCのローカル環境でテストプレイするためなかなか気付きませんが、スペックの低いPCでプレイした場合や、特にPLiCyなどブラウザプレイの場合には、顕著な遅れが出てしまいます。

そういうのを「気にしない」というのも一つの方法ですが、せっかくBGMと演出とを合わせたのなら、その状態で見てほしいものです。それにBGMが微妙にズレていると、遅延のせいとは知らないプレイヤーには「残念」と映ってしまうでしょう。せっかくの苦労が水の泡になってしまいます。

ではどうすればいいのか? 可能な限りズレを解消する方法について解説します。

エンディングでよくある演出と言っていますが、それ以外でもオープニングやその他、BGMと動きがシンクロするようなシーン全般で使えるテクニックです。拙作『王国の英雄』でもエンディングのほか、オープニングムービーや三人娘のダンスショーのシーンなどで用いています。

▲『王国の英雄』のダンスショーシーン、BGMとダンスを合わせている

なお、通常の「文章の表示」で台詞を表示させる場合、制御文字の\^で自動メッセージ送りをしていない限りは、プレイヤーの操作によってタイミングは全く変わってくるので、そもそもBGMとの同期には合いません。ご注意ください。

早送りの禁止

まず忘れてはならないのが、RPGツクールに標準機能として備わっている、早送り機能の無効化です。

イベント中に決定キーを押しっぱなしにしていると、メッセージが早送りされるのはもちろん、各キャラの動きも倍速になります。しかしBGMまでは倍速では流れないため、どんどんズレていってしまいます。

そこで、決定キー押しっぱなしによる倍速化機能を、該当シーン中は無効化しておく必要があります。

この早送りの無効化は、イベントコマンドではできないので、プラグインに頼ることになります。

同様の機能を持つプラグインは多数ありますが、拙作プラグイン「イベント早送り無効化プラグイン(PANDA_DisableFastForward.js)」でも高速化のON/OFFが簡単に切り替えられます。

スイッチを一つ用意してプラグインパラメータで指定し、該当シーンの直前でそのスイッチをONにし、終わったらOFFにすれば、該当シーン中は早送りができなくなります。

画像の先読み

次に必要なのは、画像の先読み(プリロード)です。

ローカルの環境ではほとんど気にはなりませんが、ブラウザプレイ環境の場合、サーバーやネットワークに起因する画像の読み込みの遅延は顕著に起こります。

ツクールには使用する画像ファイルをキャッシュしておく仕組みがあります。過去記事「画像の先読みを改善して画像表示のラグ解消」で紹介したように、RPGツクールMZではイベントの開始時にそのイベントで使用される画像をあらかじめ読み込んでキャッシュする仕組みになっています。

しかし、キャッシュが効くのはイベントコマンドの200行目までに登場する画像となっており、長いイベントだと途中からキャッシュが効かなくなってしまいます。エンディングのイベントなどは長くなりがちなので、この影響を顕著に受けます。

それを改善するのが、上記の記事で紹介している拙作「画像先読み改善プラグイン(PANDA_ImagePreLoad.js)」です。

このプラグインを導入すると、200行という制限が解除されるほか、通常では先読み対象にならない「遠景の変更」や「移動ルートの設定」中の「画像の変更」も対象になります。

1つのマップに全て収める

意外と盲点なのが、マップ間の移動を行うと、マップの読み込みが走って遅延が生じる点です。

連続で回想シーンを流すような演出の場合、各回想シーンごとに1つのマップで構成し、場所移動と自動実行イベントでシーンを繋いでいくことが多いですが、そのような構成にすると、マップ移動の際にマップの読み込みが行われ、そこで遅延が発生します。

▲『王国の英雄』エンディングのマップ、1マップに全シーンを詰め込んでいる

それを防ぐためには力業ですが、そのシーンで使用するマップを、全て1つのマップに収める方法です。

同一マップ内の場所移動であればマップの読み込みは発生しないので、1つのマップ、1つの自動実行イベントに全てのシーンを収めます。そうすれば解決します。

次のマップをプリロードするプラグインなども存在しますが、さらにその先のイベント内での画像の先読みなどもあるため、1つのマップに押し込めてしまうのが最も手っ取り早いです。

ただその場合、タイルセットの異なるマップを1マップに統合する際は、場所移動時の暗転中にイベントコマンドの「タイルセットの変更」で切り替えてやる必要があります。

先述の「画像先読み改善プラグイン」は「タイルセットの変更」によるタイルセット画像のプリロードには対応していないため、イベント冒頭でフェードアウト中に「タイルセットの変更」を行って、キャッシュに保存しておく必要があります。

ウェイトで時間調整

そして、ここが最大のポイントです。

上記の対策を行っても、PCのバックグラウンドでの処理などの影響により、秒単位以下の遅延は生じます。これはブラウザプレイに限らず、ローカルの環境でも起こりえます。

1~2フレーム(1フレーム=1/60秒)の遅れならまだしも、それが累積して数フレーム以上の遅れになると、BGMとの同期に明らかなズレが見られます。

その時の対策として有効なのが、ウェイトで時間調整をする方法です。

この手の演出を作る場合、たいてい数十フレームから2~3秒程度のウェイトが入ります。このウェイトの長さが数フレーム短くなったところで、基本的に演出には影響がありません。

そこで、ウェイトの時間を調整してBGMのタイミングを合わせるのです。そうすれば、数フレームのズレが起きていたとしても、ウェイトのところでズレが解消されるため、結果としてズレを最小限に抑えることができます。

RPGツクールのコアスクリプトでは、AudioManager.saveBgm().posで現在のBGMの再生位置を秒数で取得することができます。この値が一定値になるまで、1フレームずつのウェイトをループ処理で繰り返し、一定値になったらループを抜けるようにすれば、ウェイトで時間調整が可能です。

具体的には、まず以下のようにして、ちょうど良いタイミングにおけるBGMの再生位置を取得します。

◆ウェイト:90フレーム
◆変数の操作:変数A = AudioManager.saveBgm().pos * 1000
◆文章:なし, なし, ウィンドウ, 下
:  :\V[1]

再生位置の数値の単位は秒ですが、実際の値はフレーム単位まで取得されるため、返される値は小数点以下の値になります。そのままだとイベントコマンドで扱いにくいので、1000倍して整数で扱えるようにしています。

ちょうど良いタイミングにおけるBGMの再生位置が取得できたら今度は以下のようにして、その位置になるまでループするようにします。

◆ウェイト:45フレーム
◆ループ
 ◆変数の操作:変数A = AudioManager.saveBgm().pos * 1000
 ◆条件分岐:変数A < 57500
  ◆ループの中断
 :分岐終了
 ◆条件分岐:変数A >= 58650
  ◆ループの中断
 :分岐終了
 ◆ウェイト:1フレーム
:以上繰り返し

全体のウェイトが90フレームとして、半分の45フレームは必ず入れるようにします。これがないと、遅延が激しかった時にウェイトがなくなってしまうため、それはそれで演出として違和感が出てしまいます。どのくらい強制ウェイトを入れるかは、半分くらいを目安に感覚で構いません。

再生位置の値は1/60フレーム単位=16.66…と端数が出るため、適当にキリの良い値に切り捨てて、その値よりも現在の再生位置が大きければ、ループを抜けてウェイトを終了するようにしています。ぴったりの値にすると、誤差で1フレームズレる可能性があります。

また、BGMがループすると再生位置は0にリセットされます。そのため、何らかの理由で大幅に遅延し、BGMが周回遅れになっていると、BGM1周分に近いウェイトが発生することになります。しばらく動きが止まることになって、それはBGMとのズレ以上に不自然なため、そういう場合は同期を諦めて、再生位置が一定値以下だった時も即座にループを抜けるようにしています。

こういった調整を、ある程度の長さのウェイトがあるところで何カ所か仕込んでおけば、途中で遅延が発生してもすぐに解消されます。

フォーカス喪失対策

RPGツクールの、というかPCアプリケーション全般の仕様として、そのアプリ(ゲーム)のウィンドウがフォーカスを失ってアクティブでなくなると、画面の更新は停止する一方、BGMは再生され続けます。そのため画面の動きとBGMに著しいズレが生じます。

これは特に、全画面表示をせずにマウスで操作をしていると、弾みでウィンドウ外のところをクリックしてしまったりして起こりがちです。そのほか、スクリーンショットを撮ろうとして別のアプリを立ち上げたりすると起こります。

それへの対策プラグインも存在します。

mattuup様の「音声強制停止プラグイン(MAT_AudioFocusResume.js)」を導入すると、ウィンドウがアクティブでない時にBGMの再生を停止できるようです。

また逆に、はどはど様の「H2A_DontPauseWhenBlur」を導入すると、ウィンドウがフォーカスを失っても動きが停止しないようにできるようです。

『王国の英雄』ではここまでは導入していないのですが、気になる場合は導入すると完璧でしょう。

最後に

重要なシーンでキャラの動きとBGMとをシンクロさせるのは、かなり労力がかかりますが、きれいにハマると印象に残ります。

しかし、それが環境によってズレてしまうとなると、せっかくの労力がもったいないばかりか、ズレのせいで逆に残念な演出になってしまいます。

特にPLiCyをはじめとするブラウザプレイでは遅延によるズレが顕著なため、今回挙げた対策は非常に有効に働きます。また、ダウンロード版でも多少のズレは発生するため、対策しておいて損はないはずです。

せっかくの手間が無駄にならないよう、さらにもう一手間加えることで、完璧なシーンに仕上げましょう!

では、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

[ テクニック ] [ 素材 ] [ プラグイン/スクリプト ] 対象が無条件のスキルを正しく使わせる

2025-11-30 17:20:25

対象範囲が「味方単体(無条件)」のスキルを敵キャラや自動戦闘のアクターが使うと、ツクールのコアスクリプトの不具合のせいで正常に動作しない問題を解決するプラグインを公開しました。

「無条件」の設定自体がRPGツクールMZからの登場なので、MZ専用のプラグインとなります。

RPGツクールMVまでは、スキルの対象範囲に生存者か戦闘不能者(死亡者)のどちらかしか選べませんでした。しかし、RPGツクールMZで範囲指定のUIが改良され、対象陣営が味方の場合に限り、生死にかかわらず対象にできる「無条件」の指定ができるようになりました。

これにより、戦闘不能なら蘇生、生きていれば回復といった、便利なスキルが作れるようになりました。

しかし、こうしたスキルを通常のプレイヤーキャラクターが使う分には問題ないものの、敵キャラや自動戦闘のアクターに使わせようとすると正常に動作しません。

自動戦闘のアクターが使った場合は、生存中の味方しか対象候補にならず、戦闘不能の味方に使うことはありません。また敵キャラが使った場合は、ターゲットを取得できず何も起こりません。

これはRPGツクールMZのコアスクリプトで、こうしたケースが想定されていないことによる不具合のようです。

過去記事「敵の蘇生対象がランダムにならない不具合修正」でもそうでしたが、どうもツクールのコアスクリプトは敵が蘇生を使うという想定がされていないようで、これもそれと似たような現象です。自動戦闘についても、無条件ターゲットがMZからの追加機能であるため、おそらく対応が漏れているものと思われます。

公式フォーラムでこの問題が投稿されていたため、それに合わせて修正プラグインを作成しました。本プラグインを導入するだけでこれらの不具合が解消し、敵キャラや自動戦闘キャラも意図通りにスキルを使用できるようになります。

確かに「全体無条件」ならともかく、「単体無条件」のスキルは作る機会が多くないかもしれません。しかもそれを敵キャラや自動戦闘キャラに使わせることは、さらに例が少ないでしょう。

しかし、そのような設定が可能である以上、コアスクリプト側もそれに対応しておかなければならないはずで、仕様策定の難しさを改めて感じさせられます。

なお、プラグインに関する質問やアドバイスなどはコメント欄まで、お気軽にお願いします。素材利用条件などについては、このサイトについての「提供素材について」の項目などをご覧ください。

[ テクニック ] [ 素材 ] [ プラグイン/スクリプト ] イベントの早送りを無効化する

2025-11-23 18:36:13

指定したスイッチがONの時は、決定キーの押しっぱなしによるイベントの早送り(倍速化)が無効になるプラグインを公開しました。

RPGツクールMV/MZ両対応です。

RPGツクールには、決定キーを押しっぱなしにしていると、イベントが倍速で進む早送り機能があります。

メッセージが瞬間表示されるほか、キャラクターやピクチャの移動なども倍速で処理されるようになるため、テストプレイ時や一度見たイベントをもう一回見ることになった時などに便利です。

しかし一方で、エンディングなどでクレジットを表示している時や、キャラの動きとBGMとをシンクロさせている時など、早送りされては困るケースも存在します。

そのような時に、このプラグインが役立ちます。

使い方は簡単で、まずスイッチを1つ用意します。

次にプラグインパラメータでこのスイッチを「(早送り)禁止スイッチ」として指定します。

そして、早送りされたくないイベントの開始前にこのスイッチをONにし、終了後にOFFにします。

これだけでOKです。

なお「文章のスクロール表示」だけは、標準で「早送りなし」の機能があるため、本プラグインの対象外です。スクロール表示で早送りを禁止したい場合は、「早送りなし」のチェックを入れてください。

それ以外の全てのイベントコマンドおよび戦闘ログは、このプラグインによって高速化が無効になります。

プラグインに関する質問やアドバイスなどはコメント欄まで、お気軽にお願いします。素材利用条件などについては、このサイトについての「提供素材について」の項目などをご覧ください。

[ テクニック ] [ 素材 ] [ プラグイン/スクリプト ] 敵の行動のターゲットを制御する

2025-11-13 01:01:44

敵キャラの行動パターンに、条件によるターゲットの指定や重み付けができるプラグインを公開しました。

RPGツクールMV/MZ両対応です。

敵の行動とターゲット

敵キャラの行動で、HPが減っていない相手に回復魔法を使ったり、既にバフやデバフがかかっている相手に同じバフ・デバフをかけたり、眠らされたアクターに攻撃して起こしてくれたりすると、ラッキーです。

しかし、序盤の敵がこういう動きをするならともかく、終盤の、しかも知能が高そうな敵キャラがそのような無駄行動をすると、ちょっと残念な感じがします。

敵キャラの行動でターゲットを制御する標準機能には「狙われ率」がありますが、狙われ率は基本的に戦士系の前衛職が敵の攻撃を受けやすく、魔法使い系の後衛職が攻撃を受けにくい、といった仕組みを反映させる要素であり、HPの消耗度やバフ・デバフ、ステートの状態などによってターゲットを制御する目的で使うには不向きです。

狙われ率自体は敵キャラにも存在するため、例えばボスの狙われ率を高くすることで、ボスの回復を優先するお伴が表現できます。バトルイベントで常に敵キャラのHPを監視し、HPの減り具合に応じて敵キャラの狙われ率を変更することで、一番HPが減っている味方を回復してくる敵、などというのも表現することは可能です。ですが、標準機能だけで実装しようとするとかなり労力がかかりますし、細かい制御もできません。

そこで、このプラグインを作りました。

以下、使い方を説明します。

ダミースキルの作成

まず事前準備として、ターゲット条件指定用のダミースキルを1つ作成します。

ダミーなのでスキルの内容は特に何も設定しなくて構いません。スキルの名前は任意ですが、分かりやすいように「↑ターゲット条件」などとしておくと良いでしょう。

ダミースキルを作ったら、次にプラグインパラメータの「ターゲット条件用スキル」で、そのスキルを指定します。

以上で事前準備は完了です。

ターゲット条件の設定方法

事前準備が終わったら、いよいよ敵キャラの行動パターンにターゲット条件を設定します。

ターゲットを制御したい行動パターンの下に新しい行動パターンを作成し、「スキル」に先述の「ターゲット条件用スキル」のダミースキルを指定します。

そして「条件」にターゲットの条件を指定し、「レーティング(R)」で優先度を指定します。これによって、その条件に合致するメンバーの、ターゲットとして選ばれる確率が変わります。

ターゲットの条件指定は下にいくつでも追加できます。

条件

「条件」でターゲットの条件を指定できます。

条件に指定できるのは行動パターンのものと同じですが、条件の意味は一部異なるものもあり、それぞれ以下を意味します。

常時
全員が対象となります。特別な指定をしたい場合以外は設定する必要はありません。
ターン
特別な意味を持ち、対象のインデックスやID番号を表します。A + B * Xで指定されるターン数のうち、ABの値によって以下のようになります。
0 + 0 * X
自分自身が対象になります。
A + 0 * X
インデックス(1始まり)がAのメンバーが対象になります。
0 + B * X
アクターIDまたは敵キャラIDがBのメンバーが対象になります。並び順にかかわらず特定のアクターや敵キャラを対象にできます。
A + B * X
A + B * Xで表されるインデックス(1始まり)のメンバーが対象となります。例えば「2 + 2 * X」とすれば偶数番目のメンバーが対象になります。
HP
現在のHPが指定範囲内にあるメンバーが対象になります。
MP
現在のMPが指定範囲内にあるメンバーが対象になります。
ステート
指定ステートが付与されているメンバーが対象になります。
パーティLv
対象がアクターの場合は個別のメンバーのレベルになります。対象が敵キャラの場合は標準と同じくパーティーの最高レベルが基準となりますが、あまり意味のない指定です。
スイッチ
ターゲットの絞り込みには影響せず、後述する行動の採用可否にのみ影響します。

まとめると以下のようになります。

条件 意味
常時 全員が該当
ターン 0 + 0 * X 自分自身
ターン A + 0 * X インデックスがAのメンバー
ターン 0 + B * X アクターIDまたは敵キャラIDがBのメンバー
ターン A + B * X インデックスがA + B * Xに合致するメンバー
HP 現在のHPが指定範囲内にあるメンバー
MP 現在のMPが指定範囲内にあるメンバー
ステート 指定ステートが付与されているメンバー
パーティLv アクター そのアクターのレベル
パーティLv 敵キャラ パーティーの最高レベル(行動の採用可否のみ影響)
スイッチ 指定スイッチがONの場合(行動の採用可否のみ影響)
レーティング(優先度)

優先度の考え方は行動パターンのものと少々異なるので、注意が必要です。

優先度はデフォルトが5で、5よりも小さい数字を指定すると優先度がその分だけ下がり(ターゲットとして選ばれにくくなる)、5よりも大きい数字を指定すると優先度がその分だけ上がります(ターゲットに選ばれやすくなる)。

複数の条件に合致する場合、それぞれの条件での優先度の加減が積み重なります。

ただし、レーティングの1と9は特別な意味を持ち、1を指定すると該当するメンバーはターゲット候補から除外されます。また9を指定すると必ずターゲットに選ばれるようになり、それ以外のメンバーはターゲット候補から外れます。同じメンバーに1と9の両方が指定された場合は、後から指定された方が優先となります。

まとめると以下のようになります。

レーティング 意味
1 ターゲット候補から除外
2 優先度を-3
3 優先度を-2
4 優先度を-1
5 デフォルトの優先度
6 優先度を+1
7 優先度を+2
8 優先度を+3
9 必ずターゲットになる
ターゲットの抽選

上記の条件とレーティングから、実際のターゲットが抽選されます。

まずレーティング=9に該当するメンバーがいれば、その中から抽選されます。

9のメンバーがいなければ、レーティング=1の除外対象者を除いたメンバーの中から抽選されます。

この時、最終的に算出された各メンバーの優先度のうち最高値を基準に、優先度が1下がるごとに選ばれる確率が1/3小さくなります。最高値より優先度が3以上小さい場合は、候補外となってターゲットに選ばれなくなります。この考え方は行動パターンの優先度と同様です。

なお、実際のターゲット抽選においては、優先度に加えて「狙われ率」も参照されます。優先度ではキャラAの方が勝っていても、キャラBの狙われ率がそれ以上に高かった場合は、キャラBの方が選ばれやすくなります。これは「挑発」などのターゲット引き付け効果を有効にするための仕様です。

行動の不採用と再選択

ターゲット候補が1人もいない場合、その行動は不採用となります。

ターゲット条件は、ターン初めの行動決定時と実際の行動直前の2回確認されます。ターン内の行動によって実際の行動時に対象者が1人もいなくなった場合、その行動をキャンセルして別の行動が再選択されます。

この仕様により、無駄な行動が抑制できるようになります。

なお、スキルの効果範囲が単体やランダムでなく全体や使用者自身の場合、ターゲットの選択には影響しませんが、条件を満たす対象者が1人もいなければ、その行動は不採用となります。

設定例

特殊な仕様や分かりにくい部分もあるので、以下にいくつか設定例を挙げました。参考にしてみてください。

(1) ダメージによるステート解除を避ける
スキル 条件 R
攻撃
↑ターゲット条件 ステート:睡眠 4
↑ターゲット条件 ステート:混乱 4

睡眠か混乱にかかっているメンバーは、通常メンバーに比べてターゲットになる確率が2/3になります。両方かかっている場合は確率が1/3になります。

(2) ステートの重複を避ける
スキル 条件 R
単体毒攻撃
↑ターゲット条件 ステート:毒 1

毒にかかっているメンバーは対象外となります。全員が毒にかかっていた場合はこの行動自体が不採用となります。

(3) 無駄な蘇生行動を避ける
スキル 条件 R
レイズ(単体蘇生)
↑ターゲット条件 ステート:戦闘不能 9

戦闘不能のメンバーの中からターゲットが抽選されます。誰も戦闘不能になっていない場合はこの行動自体が不採用となります。

(4) 効率的な回復
スキル 条件 R
ヒール(単体HP回復)
↑ターゲット条件 HP:50~80% 6
↑ターゲット条件 HP:0~50% 7

現在のHPが50~80%のメンバーはターゲットになる確率が通常の倍、0~50%のメンバーは3倍となります。

(5) 隊列の後方を狙う
スキル 条件 R
攻撃
↑ターゲット条件 ターン:4 + 0 * X 8
↑ターゲット条件 ターン:3 + 0 * X 7
↑ターゲット条件 ターン:2 + 0 * X 6

後ろのメンバーほど狙われやすくなります。1人目のメンバーは優先度がデフォルトの5となります。4人目のメンバーが戦闘不能でない限り、1人目のメンバーは攻撃されません。

(6) 無駄な全体回復を防ぐ
スキル 条件 R
リカバー(全体HP回復)
↑ターゲット条件 HP:80~100% 1

効果範囲が全体のためターゲット選択としては意味がありませんが、メンバー全員の現在のHPが80%以上であれば、この行動自体が不採用となります。

競合や互換性について

本プラグインは戦闘システムに改変を加えるプラグインのため、主に戦闘システムに関わる他のプラグインとは競合する可能性があります。

プラグインの順序を入れ替えることで解決する場合もありますが、特にターゲットの選択に関わるプラグインや、戦闘の流れを制御するプラグインとは併用できない可能性が高いです。その際の競合対策までは責任を負いかねますのでご了承ください(ご自身での改造はご自由にどうぞ)。

私、panda(werepanda.jp)制作のプラグインとは互換性を確保しており、「行動パターン複数条件プラグイン(PANDA_ActionMultiCondition.js)」や「複数回行動条件設定プラグイン2(PANDA_MultiAction2.js)」などとも併用が可能です。

なお「敵蘇生対象選択修正プラグイン(PANDA_FixedRandomDeadTarget.js)」と併用する場合は、「敵蘇生対象選択修正プラグイン」の後に「ターゲット条件指定プラグイン」が来るようにしてください。

また「バフ・デバフ連動ステート付与プラグイン(PANDA_BuffState.js)」を使うと、能力の強化・弱体状態がステートで管理できるため、無駄なバフ・デバフを防ぐのに便利です。

プラグインに関する質問やアドバイスなどはコメント欄まで、お気軽にお願いします。素材利用条件などについては、このサイトについての「提供素材について」の項目などをご覧ください。

[ ゲームリリース情報 ] [ 王国の英雄 ] [ サイト情報 ] 長編大河RPG『王国の英雄』ダウンロード版公開!

2025-09-27 23:16:16

長編大河RPG王国の英雄 - The Hero of the Kingdom -

先月のPLiCy版公開に続いて、ダウンロード版も公開しました。

PLiCy版公開後も頻繁にバグ修正や仕様追加、微調整など行ってきましたが、ようやく落ち着いたので晴れてダウンロード版もリリースできました。

Windows版とMac版があります。Mac版では起動時にエラーが出る場合があります。そのような場合はお手数ですが、ダウンロードページの「Mac版で起動できない場合は~」以下に記載の方法をお試しください。

しばらくはバグ修正や微調整も発生する見込みです。ブラウザ版と違ってダウンロード版の場合は再ダウンロードが必要になります。更新時はX(旧twitter)上でも告知しますので、ぜひチェックをお願いします。

プレイの感想やご質問、バグ報告などありましたら、お気軽にお寄せください。

どうぞよろしくお願いします!